どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

北海道に来た4つの台風被害について。

2016年8月、北海道へ3つの台風が次々に上陸し、4つ目の台風が急接近しました。

これにより、道内各地で河川の氾濫や橋の流失など甚大な被害が発生しています。

ほとんどの場合、台風が発生しても北海道に来る頃には温帯低気圧に変わってしまうため、台風に対する道民の危機意識というのはそんなに高くないかもしれません。

そこに起こった今回の台風で、そんな思い込みをそろそろ改めるべきかもしれません。 

 

今回の4つの台風について、覚書程度にまとめておきます。

書いてあるのは人から聞いた話も入っていたり、数字は情報を取得した時点でのものなので、あくまでご参考にご覧下さい。

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◆北海道に被害をもたらした4つの台風
台風7号・・8月17日襟裳岬付近に上陸。十勝地方、オホーツク地方を中心に被害
台風11号・・8月21日釧路市付近に上陸。十勝地方、オホーツク地方を中心に被害
台風9号・・8月23日日高地方に上陸。十勝、日高、オホーツク地方など広範囲に被害
※台風7号の上陸により、北海道へ9年ぶりに台風が上陸したことになる。
※台風7号、11号、9号と一年間に3つの台風が北海道に上陸したのは観測史上初めて。
台風10号・・8月29日~31日北海道に接近。北海道に上陸こそしなかったが、暴風と暴雨をもたらし十勝、上川等で広範囲にわたって被害。特に各地での川の氾濫、橋の流失が相次ぎJR、道路が壊滅状態に。

 

 

それぞれの台風の概要と被害。

台風7号
概要
8月14日頃、マリアナ諸島で発生した台風7号は発達しながら日本へ向かい北上。
台風7号は本州を沿って北上し、まっすぐ北海道に上陸。このように、本州に上陸せず北海道に直接台風が来たのは23年ぶりのことです。
被害
足寄町では利別川、足寄川があふれ、約50世帯が浸水。一部で避難指示。
釧路では観測史上一位の最大瞬間風速43.2メートルを観測。市内は暴風に見舞われ、倒木やけが人が出た。牛舎が倒れ牛が死亡。
雄武町内の道道美深雄武線が土砂崩れで通行止めとなる。
道東を中心に全道で8万戸以上が停電。停電の影響で十勝、釧路では生乳を廃棄。※生乳は牛からしぼった後、専用のクーラーで冷やして保存しなければならないため。
全道でおよそ108tの生乳を破棄した。
十勝、オホーツク、空知地方は農業酪農被害が大きく、北見市では常呂川が氾濫危険水位を超え、収穫間近の玉ねぎなどが冠水。特に十勝管内の農地は被害面積が最も大きく、スイートコーンを中心に3,000ヘクタール以上が被害にあう。
台風7号の被害は道東が中心だが、札幌市、江別市の一部でも道路冠水、住宅浸水があった。

 

◆台風11号
概要
8月20日頃、日本の東の海上で発生し北上。そのまま北海道に上陸。
台風7号に続き、本州に上陸せず北海道に直接上陸した。
被害
北見市常呂(ところ)町では80名ほどが避難。同町常呂川が増水し、川沿いで男性1名が亡くなった。
常呂川は常呂町の4カ所で防波堤を超えた。
常呂町の避難所では避難所自体が危険にさらされ、住民が別の避難所に移動しようとしたところ道路が冠水。車列に濁流が迫り3時間余り立ち往生した。
美瑛町の天人峡美瑛線で道路が陥没し、天人峡温泉の宿泊客約90人が一時取り残される。

歌志内市、赤平市の水田が冠水、床上浸水。
道内では1万5千人あまりに避難指示。
網走と札幌を結ぶ特急オホーツクが全便運休。網走方面では一時、国道2路線2区間、道道27路線35区間が通行止めとなった。
24時間の降水量が赤平市、上川町で観測史上最大を記録。網走市でも8月の観測史上最大量を観測。

 

◆台風9号
概要
8月19日頃マリアナ諸島で発生した台風は、8月22日に千葉県に上陸。そのまま北上し、北海道に再上陸。
これにより北海道に上陸した台風は3つになり、観測史上初の事態となった。

被害

石北本線上川駅 − 中越信号場間でレール下の路盤が流され、作業車両が脱線。作業員3名が負傷した。
遠軽町では支湧別川の湯の沢橋が崩落。迂回路も陥没。
新ひだか町では真沼津川が氾濫し市街地が広く浸水。消防が住民をボートで避難させた。
深川市では石狩川が氾濫し住宅数件が浸水。
北見市では住宅裏の崖が20メートルにわたり崩落し、周辺住民に避難勧告が発令された。台風11号で氾濫した常呂川と支流が再び増水し、住民に避難指示、玉ねぎ流される。常呂町では1300人以上に避難指示。
新冠町では、水道管が流され、計46世帯が断水。
旭川市では美瑛川支流の辺別川、ぺーパン川の堤防が決壊。辺別川に架かる九線橋が倒壊。
美瑛町では青い池が茶色く濁り、美瑛川の護岸崩壊の危険もあったため、青い池は立ち入り禁止に。
JRは23日の列車400本以上の運休を決定。特急オホーツクが長期運休。北見産のタマネギを運ぶ貨物列車が運行できなくなる。
国道235号の14・5キロにわたって土砂崩れ起こる。
新ひだか町、常呂町、置戸町などで観測史上最大の降水量を記録した。

 

◆台風10号
概要
8月19日八丈島の海上で台風発生。ゆっくりと南下し日本を離れるかと思われたが、数日間海上に停滞。進路を北に変え、Uターンするように日本へ向かった。8月30日に岩手県に上陸。北海道には上陸しなかったが、暴風暴雨で甚大な被害を与えた。
台風の寿命は発生してから数日だが、台風10号の寿命は11日以上と、この海域で発生した台風で最も長寿なものとなった。

被害
南富良野町では空知川の堤防が決壊し、市街地が広範囲で浸水。公共串内牧場で牛900頭が孤立。南富良野町の避難所1階に濁流が扉や窓を破って流入。避難していた町民は、自衛隊に援護されながら500m離れた小学校へ水につかりながら避難した。

新得町(パンケシントク川)、清水町(ペケレベツ川)、大樹町(ヌビナイ川)で、流失した橋から車3台が川に転落し、2名が死亡、1名が行方不明になる。

各地のJR(特に道東)で倒木・電柱倒壊、橋の流失、路線崩壊が相次ぐ。

新得町で配水管が破損し断水。

北海道は、災害救助法を帯広市、南富良野町、音更町など20市町村に適用し、南富良野町、占冠村、大樹町、新得町、芽室町、清水町へ自衛隊の災害派遣を要請した。

十勝管内の被害によりジャガイモの収穫が進まないため、カルビーは予定していたポテトチップス発売を延期。
芽室町の国産スイートコーン缶詰のシェアで75%を占める日本罐詰は、工場が浸水したため今季の操業を断念。キューピーはアヲハタコーン缶詰や、カレーなどの販売を休止した。

北海道の調査によると、台風10号による農地への影響は1万2310.9ヘクタール以上。被害面積が最も大きいのは十勝地方で、ジャガイモや小豆などが浸水。

道南ではビニールハウスや牛舎の損壊件数が1800棟以上。
日高地方では昆布の収量が過去最低になる見通し。

 

 

このように被害を羅列してみましたが、ここに書いていない地域でも多かれ少なかれ被害が出ています。十勝地方を中心に北海道の主幹産業である農業や酪農関係で大打撃を受け、橋や道路は流されて交通も壊滅的です。

おとなしいはずの空知川が氾濫し、南富良野町が浸水した様子はテレビでご覧になった方も多いと思います。

 

 

 

4つの台風全体の被害や金額は次の通りです。

 

台風7号、11号、9号、10号の4つの台風と、台風13号から変わった低気圧による被害推計額は1962億円。復旧見込額は1740億円。

内訳は、公共土木施設では1669億円、農地などで71億円となっている。

※ちなみにこの数字に中小企業の被害額は入っていません。南富良野町だけでも中小企業関係被害額は12億9000万円になったそうです。

 

追記**2016年9月28日

4つの台風と、台風13号から変わった低気圧による被害推計額は1962億円になり、国道や河川などの被害推計額を合わせると2786億円にのぼる事がわかりました。

今まで被害の一番大きかった、1981年(昭和56年)の「56水害」の被害総額は2704億円でしたが、一連の台風はこれを上回り過去最悪となりました。

 

 

 

政府は台風7号、11号、9号、10号の四つの台風被害を一括して激甚災害(指定されると補助の上限が上がる)に指定し、南富良野町など4市町が市町村単位の「局地激甚災害」に指定。

 

 

JR北海道は、台風による特急運休などで約40億円の減収になると発表。被害が大きかった石勝線・根室線については、年内に全線復旧できない可能性。東鹿越―新得間はめどが立っていない。

復旧費用については、数十億円規模に膨らむとみられ、JR発足以来、自然災害では最大になる。

台風被害による8月の運休本数は前年同期の約8倍に当たる約2800本で、昨年度の8倍。

 

 ホクレンによると農産物の収量に大きな変化は無いとするものの、道の調査によれば北海道の農作物は収穫の遅れが目立ち始め、十勝でのジャガイモ収穫進歩率は前年の半分程度。全道でみると、前年と比較した収穫進捗率はジャガイモが3割弱、タマネギは半数強にとどまっている。ジャガイモの主産地であり被害の大きかった十勝地方では収穫進捗率が26%程度。

 

追記**2016年12月

芽室町にある日本罐詰株式会社十勝工場(キユーピー・アヲハタコーンの製造委託先)は甚大な被害を受けた。復興めどがたたないため2015年産の在庫を最後に、コーン缶詰「アヲハタ 十勝コーン」の販売を中止。

 

追記**2017年

秋に種をまく「秋まき小麦」の2017年の状況について。2016年の台風の影響により、北海道内の4,300ヘクタールの土地が小麦の種をまけない状態にあることが判明した。

 

追記**2017年4月

台風の影響で原料のじゃがいもの確保が難しくなったため、カルビーはポテトチップス14種類18商品の販売を休止した。再開めどは未定。

 

追記**2017年5月(台風から9か月後)

南富良野町近郊の河川の様子。

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十勝清水インター付近の車道脇の様子。

道路標識などがめちゃめちゃになったまま。道路の片側半分が通れない状態。

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この先の国道274号日勝峠は、橋が落ちているので未だに通行止めでした。

**追記終わり。

 

 

次回は台風10号を中心に思ったことを書きます

少しでも早く日常生活が戻ることを願っています。

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