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どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

北海道の影「アイヌモシリ・北海道の民衆史」

 日本自費出版文化賞大賞を受賞した、「アイヌモシㇼ・北海道の民衆史」に続く本「続アイヌ・モシㇼ・北海道の民衆史」を読んだ。

続アイヌモシリ・北海道の民衆史【HOPPAライブラリー】

続アイヌモシリ・北海道の民衆史【HOPPAライブラリー】

 

 本のタイトルだけ見ると何の本だかさっぱりわからないけど、北海道内に残る膨大な数の「石碑」を調べ上げ、そこから北海道史を読み解くという本。

 

著者の杉山四郎が調べ上げた石碑は300に上る。そこにはかつて炭鉱で栄えた空知地方やアイヌ民族の足跡が残る日高地方まで、おそらくアカデミックな北海道史では無視される地方の石碑が数多く掲載されている。

100年足らずのいわゆる「北海道史」では開拓が真っ先に入った函館、その後の札幌・小樽を中心に語られることが多いが、これだけ広く自然の厳しい土地で小さな市町村がどう発展し開拓されたかについてはあまり語られない。

北海道を開拓した主役は政府ではなく、開拓民である「民衆」だった。

彼らがどのように開拓を進めていたかというのも「100年足らず」という近い過去しか持たないにも関わらず、その恩恵を受けている僕らに届く情報は少ない。

 

この本でその事実を語ってくれる石碑はいたるところにある。公園で、公共施設の片隅で、お寺で、目にしているだろうけど、だいたいは薄暗い木陰や、解読不能な漢字が刻んであって近づかない。

でもその石碑から、開拓とはなんだったのか、それを支えた人の人生はどんな風だったのか、石碑からどんどん出てくるものだから恐ろしかった。

僕らが読んでいないだけで、事実はずっといそこに書いてあったんだね。

 

 

タイトルでいう民衆とは、開拓の主役であった貧しい農民、アイヌ、炭坑労働者、強制的に連れてこられた外国人、囚人、娼妓達。彼ら彼女らの日の目を浴びることのなかった力でも、この土地は開拓されたという事実です。

家族も持てないほど貧しい男が食うや食わずで働き、炭坑では何百人もが生き埋めになり、今では考えられない田舎町にも娼館があり、強制労働者の遺体がどこかに埋まっている。

あの下には人柱が埋まってる。なんて話を子供の時に聞きましたが、あながち嘘でもなかったかもな。と思い出しました。

 

これもまた北海道の歴史の事実です。

 

 

昔はそういう時代だったんだよ、と言ってしまえば楽だけど、差別と偏見の時代に逆行してる現在。

追悼、慰霊という名の、後悔と反省で建てられた石碑の意味について知ることは、大事だったりするかもね。