納豆や豆腐でおなじみの江別市にある「オシキリ食品」。
ここで出してる納豆が産地別に5種類出てたので食べてみたよ。
食べたのは「石狩」「オホーツク」「空知」「十勝」「北竜」。
大豆の栽培地別・品種別にいろんな味が楽しめました。
ではさっそくねばねばしてみましょう。
◇石狩
産地:石狩地方・・・札幌を中心とした周辺地域。札幌地方とは言わずに、なぜか石狩地方と呼びます。札幌市、石狩市、千歳市、北広島市など
大豆品種:スズマル大豆・・・小粒の品種。納豆への加工に適している。
粒:小粒
大豆の風味がよく感じられる素朴な豆。小粒で食べやすく、良くも悪くも「普通」の納豆です。
◇オホーツク
産地:オホーツク地方・・・北海道の右上の部分(道東といいます)。紋別や網走など、オホーツク海に面した地域。
大豆品種:ユキシズカ大豆・・・小粒の品種。納豆への加工に適している。
粒:極小粒
糸引きがよくやわらかい食感。粒は石狩よりさらに小さくてさらさら食べられる。
納豆のもとになる大豆にはいろんな品種があるんだけど、石狩のスズマル大豆や、このユキシズカ大豆は、納豆専用の品種といっても過言ではないくらい、納豆向きの性格。
納豆向きっていうのは、例えば大豆の皮が弱い品種だと、皮が破れて納豆にしたとき見栄えが悪いよね。それから斑点がでたりしてもやっぱり見栄えが悪い。納豆は粒のまま商品になるから、大豆の形が良い品種が納豆向き。ということです。豆腐は大豆を潰しちゃってつくるから外見はあんまり関係ないんだよ。
あと糖質が多い大豆は納豆菌とうまくいくみたい。
◇空知
産地:空知地方・・北海道の真ん中あたり。岩見沢市、赤平市、夕張市、芦別市など。かつて炭鉱で栄えた町が多い地域。
大豆品種:ツルムスメ大豆・・大粒の品種。煮崩れが少ない。
粒:極大粒
粒はごろんと大きめ。乱暴に混ぜると飛び出ます。
硬めの粒で、食感はまるで芋を食べているかのようです。多少舌にざらつきを感じますが、力強い印象の豆でした。
◇十勝
産地:十勝地方・・北海道の下あたり。帯広市、足寄町、音更町など。おいしい牛乳やチーズがたくさんあるとこ。
大豆品種:ユキホマレ大豆・・北海道で作っている大豆の4割くらいがこの品種。納豆の他に、豆腐の原料にもなる。
粒:中粒
ひとつぶひとつぶがしっとりしていて、大豆の風味がします。なぜかこの納豆だけ厚い頑丈なトレーに入っていました。ほかの納豆より色白。
◇北竜
産地:北竜・・・北竜町。パッケージには「北竜地方」と書いてあるけど、北竜町周辺って意味かな?場所でいうと、北竜は空知地方の一部になります。ひまわり畑で有名。
大豆品種:黒千石大豆・・・「まぼろしの」黒豆
粒:小粒
黒い・・。豆はとても柔らかくてほとんど噛まなくてよい。この中ではいちばんやわらかい納豆でした。独特のエグみが感じられた。
「黒千石(くろせんごく)」という黒豆が使われています。たぶん「幻の黒千石!」とか「まぼろしの黒千石!」といった感じで耳にした方も多いでしょう。
なんで幻になってしまったかというと、別に乱獲されたわけではないんだけどね。
黒千石は北海道の原種で、昔は軍馬のえさにしてたり、緑肥大豆にしたりしてたんだって。でも黒千石は育てるのにやたらとお日様が必要な豆。しかも天候の変化に弱い。1970年代になると、「めんどうだよね」ということで生産が激減して幻になってしまったんだ・・・。
でも近年種が50粒だけ見つかって、28粒の発芽に成功。岩手県で体力を回復した後、生まれ故郷の北海道に戻ってきたんだよ。おかえり。
今では北竜町の黒千石事業協同組合が中心になって生産を増やしてるんだって。
黒千石を使ったお菓子もあるよ。
きのとやの「黒千石のフロランタン」
びっくりするくらい硬いんだけど・・豆の香ばしさにまとわりつくキャラメルの甘さがやみつきの一品。
◇ごちそうさまでした。
豆が違うと結構味が違うんだね。北海道産の大豆はほかにもたくさんあるよ。今は作られなくなった品種も合わせると100種類近くあるんだって。厳しい北海道の自然でも強く育つように、どれも試験場の人が時間をかけてつくったもの。
その中で選ばれたおいしい品種だけがこうやってねばねばできるんだね。
ちなみに納豆の産地を地図上に並べるとこんな感じ・・。
あのね、誰かが言ってたよ。
北海道はいちばん大豆を作ってるけど、北海道の人は全然大豆を食べないってね・・。
アメリカ産やカナダ産大豆が原料の納豆って確かに安いんだけど。産地や品種を基準に買ってもおもしろいかもね。