どさんこカメラ

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ゴジラと北海道①「ゴジラの逆襲」(1955年)

7月29日(金)「シン・ゴジラ」の公開が嬉しいので、どさんこカメラ的に北海道が出てくるゴジラシリーズを見返してみます 

 

 

ゴジラと北海道①ゴジラの逆襲(1955年公開)

水爆実験によって太古の眠りから目覚めた暴竜アンギラス。破壊される大阪城。

しかし、蘇ったのはアンギラスだけではなかった・・・。

 

 

今月公開される庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」はゴジラシリーズの第29作目となるわけですが、そもそもゴジラシリーズの始まりは、第一作目1954年公開「ゴジラ」です。

この第一作目「ゴジラ」が日本中で空前のヒット。じゃあ続編も作んなくっちゃ!ってことで作られたのが、2作目、今回ご紹介する「ゴジラの逆襲」なのです。

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左が敵怪獣アンギラス。怪獣がわんさか登場するゴジラ作品もありますが、「ゴジラの逆襲」ではゴジラとアンギラスしか出てきません。

 

1作目「ゴジラ」でゴジラは秘密兵器「オキシジェンデストロイヤー」によって溶かされて死んでしまったので、本作に登場するのは2代目ゴジラ。

ゴジラはゴジラでも生物学的には実は全く別の個体で「2代目」と呼ばれたりします。

1作目のゴジラは陸上生物と水棲生物のまんなかの生き物。という感じでしたが、2代目は核実験の影響で変異した恐竜という設定になっています。

 

アンギラスは獰猛な肉食恐竜アンキロサウルスが変異した怪獣という設定で、平成ゴジラシリーズに出てくるような派手な攻撃はなく、ほとんど肉弾戦でゴジラと戦います。

ちなみにモデルとなった恐竜アンキロサウルスは肉食ではなく草食恐竜です。

 

 

さて本作には二人のパイロットが登場します。

一人は小泉 博が演じる月岡、もう一人が千秋 実演じる小林。

月岡役は当時人気の二枚目俳優、小泉博。

今でいうと伊藤英明をサラリーマンにしたような爽やかさ。主人公然としたイケメンです。

対して小林(千秋実)はぽっちゃりした感じで、ちょっとやくざな若乃花。そんな感じ。千秋実は美深町出身の俳優で、一応北海道にゆかりのある人です。

月岡、小林という名前からしてどちらが主人公かわかりますね。

 

二人は海洋漁業KKという会社でパイロットをしています。現代では魚群探知機で魚の群れを見つけますが、昔は飛行機で魚群を見つけ、無線で連絡するという方法のもあったようです。二人はそのパイロット。

月岡には意中の無線係・秀美ちゃんがいて、勤務中に「今夜踊りに行かない?」と無線連絡する仲です。

対する小林は特にペアで登場する女性もなく、主人公の引き立て役といった感じです。

 

うっかりさんの小林が無人島に不時着してしまうところから話は始まります。

無人島に不時着した小林を助けに向かった月岡。ふたりは無人島で格闘するアンギラスとゴジラに遭遇するのでした。

 

 

 

謎のダンスシーンと宴会シーン

冒頭の「今夜踊りに行かない?」は単なるのろけシーンかと思いきや、月岡と秀美ちゃんは本当にダンスホールに向かいます。

ゴジラが無人島から本州に上陸するかもしれないという状況になったものの、進路をそれたので二人はダンスホールに遊びに行ったのです。もうゴジラは台風扱いですね。

さてここから長々とダンスホールのシーン。なぜか新進気鋭、コロムビア所属の歌手‟星野みよ子”が急に登場。一曲歌いだす始末です。

本編と関係ないようなシーンはこのほかにもあって、大阪本社から北海道支局へ配属された小林の宴会シーンも結構長い。そして妙にリアル・・!。思わずあれ?今なんの映画見てるんだっけ?って感じになります。

 

昔の日本映画では、ダンスやパーティーシーンなど、え、いまこのシーンいる?という場面が長々挿入されますが、本作品もこれらのシーンがそれに当たります。

映画は昔の日本の一般的な娯楽でしたから、観客たちはそうゆうダンスシーンや歌のシーンなんかを見て、非日常、都会の暮らしはこんななんだろな。とか、俺もこんな生活がしたいなぁ。っていうのを楽しんだんだそうです。どうりで今の映画にはありませんね。

そういった意味では1955年公開という時代を感じさせてくれる作品でもあるのです。

 

ダンスホールでごきげんだったイケメン月岡に罰が当たったのように、ゴジラは月岡達のいる大阪へ進路を変え、そこにアンギラスまで加わって大阪はめちゃめちゃ。大阪城を崩し、アンギラスをあっさり倒してゴジラは去っていくのでした。

 

 

 

 

真の主人公、小林。

ゴジラが海洋漁業KK本社のある大阪をめちゃめちゃにしたせいで、しばらく北海道支局へ務めることとなった月岡と小林。

北海道勤務が縁で小林には彼女ができたようです。

そこで小林についたあだ名は「花婿さん」。どこか間の抜けたような感じはイメージはお似合いです。

なんだか北海道に来て、小林のシーンが多くなった気が?

いやな予感・・。

 

北海道での二人の勤務は順調。

そんな中、ゴジラが再び現れます。

 

ゴジラは架空の島「神子島」にいるようです。本編では「東経148度、北緯53度」に神子島はあるとされています。

実際地図で知らべると、もはやロシア領にある気がしますが。

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ソ連軍が出撃しそうですが、なぜか日本の戦闘機が出撃。そしてなぜか民間人であるはずの小林と月岡もゴジラのもとへと飛び立ちます。いやな予感。

花婿さんこと、小林の机には恋人の写真が残され、小林のとった行動がゴジラ撃退のヒントになるのでした・・・。

もうだいたいわかってきますが一応映画をご覧ください。

 

ここでちょっと謎が出てきます。

月岡と小林はなぜ民間人パイロットなのにゴジラに向かって行ったのか?

そもそも小林は、恋人という自分を待ってくれている存在ができたのに、なぜ自殺行為のような行動をとったのか。

シナリオの穴といえば穴ですが、何かを連想させそうですね。

それからもう一つ、この作品のゴジラは忌まわしい水爆実験の記憶から、光を憎み、光に向かって行くという性質をもちます。

ゴジラ襲来を防ぐため、街中の灯りが消されます。家の灯りが消え、ネオンが消えてゆく。まるで戦時中の灯火管制のようです。

ゴジラ自体が反核のメタファーであることを考えても、楽しそうな宴会シーン、ダンスシーンとは裏腹に、やっぱり映画の中にも戦争の影が見え隠れするわけです。

映画公開が終戦からまだ10年しか経っていない。というほの暗い空気が感じ取れる作品でもあるんですね。

 

肝心のゴジラは「え・・これでいいの?」という最後を迎えます。

第一作目に引き続き、原作者は香山滋。彼は第一作目でゴジラを殺してしまったことを「可哀想で仕方ない」と涙したそうです。ゴジラを殺すのがかわいそうだからという理由で、本作品以降ゴジラシリーズには直接関わらなかったそう。

それを考えるとゴジラの結末にも納得がいくはずです。

 

そのほかにも、この作品には小林役の千秋実をはじめ、黒澤作品の常連が出演しています。

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 千秋実は「七人の侍」にも出演。見たことある人ならどの侍かわかるかも?

もう一人侍役の人がゴジラに出演しています。豪華俳優陣の演技にも注目です。

 

 

  

北海道には来ない。

はい。二人のパイロットの活躍で、結局ゴジラは北海道に上陸しませんでした。残念です。

コアなゴジラファンはこの作品をどう思ってるかはわかりません。

ただのゴジラ好き・どさんこカメラとしては、手作り感があふれていて、好きな作品の一つです。

 

ゴジラを見るとき、ゴジラの中に入ってる人のことや、ミニチュアセットの周りで撮影してる人、音響を当ててる人のことを考えて見ちゃうんですね。それを考えるだけでわくわくしちゃう。

だから自分の中では、普通の映画の面白さとゴジラの面白さっていうのは違うものだと思ってます。

それは平成ゴジラシリーズでも同じなんだけど、より作り手の技が(良くも悪くも)わかりやすいという点で昭和ゴジラのほうが好きです。

怪獣の戦い方も泥臭いプロレスみたいだしね。

 

 

 

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「ゴジラの逆襲」で個人的に好きなシーンは、ゴジラの吐いた熱戦をあびたアンギラスが、やだやだやだ!って首をふるとこ(しかも効かない)。かわいい。

 

 

 

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