7月29日(金)「シン・ゴジラ」の公開が嬉しいので、どさんこカメラ的に北海道が出てくるゴジラシリーズを見返してみます。
北海道が登場するゴジラ作品を見てみる③
「ゴジラ2000ミレニアム」(1999年公開)
目撃せよ!ゴジラ新世紀
ゴジラシリーズ第23作目となる本作品。早速ゴジラが北海道に上陸してくれるよ。
ゴジラ根室に現る
物語冒頭からいきなり舞台は根室の納沙布岬。
夜の海を照らす納沙布岬の灯台に響く轟音、灯台の窓から見える鋭い巨大な目
灯台守が窓から見たのは・・・
漁船を真っ二つに噛み砕く牙!ゴジラだ!!
☆ゴジラ出現スポット☆納沙布岬
ゴジラが上陸したのはここ。
納沙布岬は北海道の最南端で、日本で一番早く朝日が拝める場所です。
天気が良ければ北方領土が見えるかも?
こんな感じに内陸とはちょっと違った植生も魅力的。
☆スポット情報終わり☆
海から根室に上陸したゴジラ。番屋のようなボロい飲み屋を吹き飛ばし、町へと前進していきます。
ゴジラが上陸した「根室」は北海道の一番東にある町。
人口は2万7千人あまりで大都会とは言えません。(映画公開時は3万5千人くらいだったんだけど)。東京や大阪にそびえ立つような超高層ビルは、もちろんありません。
そんな町の平べったくて低い住宅を、ゴジラは次々に破壊します。
ビル群が全然無いので一見迫力に欠けそうなこのシーン。
しかし壊される住宅こそしょぼいものの、その巨大なしっぽを追うように撮られていて、大きな建物が無くても充分迫力がでるカメラワークがみどころです。
線路を沿うように歩き出し、ゴジラは根室駅へ。
本作品はシナリオに賛否両論あるものの、とにかくゴジラがかっこいい作品です。
特に冒頭の根室駅を襲うゴジラ、かっこいいのでぜひ見ていただきところ。根室駅との2ショットも決まっています。
根室市街は停電になって真っ暗なんだけど、そこに立ち上る焔と煙をバックにゴジラの巨大なシルエット浮かぶんです。・・!かっこいい!!いいなあ根室。
大都市をめちゃめちゃにするゴジラもいいんだけど、あえて地方都市の住宅街に現れたことで、巨大な脅威、というイメージが表現されています。
この後ゴジラは根室駅前商店街に向かい、商店街を横断して踏みつぶしていきます。
根室駅でのカットはミニチュアセットだけではなく、実際に根室駅周辺でロケが行われたそうです。根室の市民エキストラも参戦しています。
☆ゴジラ出現スポット☆JR根室駅
根室駅周辺に来たら「エスカロップ」を食べてみよう。
エスカロップって健康ドリンクみたいな名前だけど、根室の郷土料理なんだよ。
たけのこの入ったバターライスに、豚カツをのせてデミグラスソースをかけたもの。
たけのこの食感とデミグラスソース、カツが意外にあう!
根室駅前にはエスカロップがたべられるお店がたくさんあるから行ってみてね。
☆スポット情報終わり☆
発電所を破壊したゴジラはいつの間にか北海道を去ったようで、あっという間に画面は切り替わり、北海道のシーンは終わってしまうのでした。
この後ゴジラは東海村の原発に行ったり新宿に行ったりして、宇宙怪獣オルガとドンパチやるのでした。
「ゴジラ2000ミレニアム」どさんこカメラ的感想。
せっかくだから北海道のシーンのほかに本編にも触れます。
この映画の前年、アメリカ版ゴジラ「GODZILLA」が公開されます。
ご存知の方も多いと思いますが本当に残念な感じの映画でしたね。
見たらわかると思うので省きますが、トカゲとワニを足したようなゴジラの造型にはがっかりしましたよ。全然ゴジラでないし。
日本のゴジラシリーズは「ゴジラVS デストロイア」を最後に一応、お休み。となっていたんですが、このざんねんなアメリカ版「GODZILLA」公開を受け、こんなんゴジラじゃないよ!ということで再び制作されたのが本作品「ゴジラ2000ミレニアム」です。
この映画「見どころはゴジラ自体」だと思うんですが。
「シナリオと敵怪獣」に関しては、・・・・。
怪獣映画にドラマ性なんて、あってないようなもの。どさんこカメラはそこを求めていないのであまり気にしないタチなのですが、この作品に限っては話の展開の悪さや主題がぼやけてしまうあまり、映画に集中できないくらいでしたよ。
冒頭、発電所を壊したゴジラに対し主人公が「ゴジラは人間の造り出すエネルギーを憎んでいるのかあ・・」とわかりやすく作品テーマを言っているにも関わらず、物語はその主題を掘り下げること無く進行します。ゴジラの性質や科学への想いに対しても、個人的意見、セリフ一つでみんなが急に納得してストーリーはあれよあれよと展開し、どうしてその思いに至ったのか、背景は語られません。
後半になると人間のうぬぼれ、科学の暴走など、次々サブテーマが登場し、もう、この映画はどれを言いたいの?と言いたくなる感じです。
出演者は阿部寛、佐野史郎、村田雄浩など面白くなりそうな配役にもかかわらず、ドラマは一向に面白くならないのでした。
人間のエゴの結果生まれたゴジラと、人間世界の軋轢を描きたかったのなら「ゴジラVS公害問題」を徹底的に描いた、1971年公開「ゴジラ対へドラ」のほうがよっぽどわかりやすかったなあ。
「水銀、コバルト、カドミウム〜♪」という曲からはじまるこの作品は子供心にかなり衝撃だった・・
敵怪獣は何段階かに姿を変えるんだけど、最初は岩。岩の正体は宇宙からやってきた生物で、さらにUFOのような円盤風に進化しちゃいます。このCGもあまり丁寧といえるようなものではなくて、見てると冷や汗もの。CGナシで模型を撮ったほうが良かったんでないの・・。予算がなくなったのか、当時の日本のCG技術はこんなもんだったのかな。
UFOの宇宙人はいったん地上に降りてくるんだけど、この姿が60年代のアメリカSFに出てくるようなタコさん。
これを見たら思わず笑ってしまうでしょう。そして諦めるでしょう、ああもうこの敵怪獣はかっこよくならないのだ・・・と。
最後にはこんな感じに変身して、無事に「宇宙怪獣オルガ」になるんだけどね。
岩とかUFOとかいらないから最初からオルガでいいのにね。
設定のアラ探しをすればきりがないけど、特撮映画にドラマを求めてはいけないと思うのでやめるね。
でも、だからこそ特撮映画の主役って結局怪獣たちなんだから、そこに影響が出るような残念さが出るとがっかりするよね。
かっこいいのはゴジラ
そんなこの映画での見どころを挙げるなら、それは「ゴジラそのもの」です。
ゴジラはシリーズの変遷とともに姿かたちを変えてきました。この映画ではこれまでのゴジラとデザインが一新されています。
ずんぐりむっくりしたゴジラも好きだけど、この映画のシャープなゴジラもかっこいい。いびつで大きな背びれ。口の部分はやや長めになり、大きく裂けて禍々しい。全体的に細見になり、頭が前に出ているのでやや前のめりになっています。破壊しながら前進するゴジラにこの姿勢はぴったり。
大人はドラマのストーリーがわかってしまうから、子供のころのゴジラへのあこがれを持ってこの作品を見ると、肩すかしをくらうかも。
見るならゴジラだけをじっくりみて、かっこよさを堪能してほしいですね。
この映画は最初と最後、ゴジラの登場シーンと、大暴れするシーンだけで満足です。
ゴジラはゴジラが主役の映画なのですから、それでいいのかもしれません。
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