ある天気の良い夕方、今日も悲しいことばっかりだ。しょぼしょぼ下を向いて歩いている。と、金の玉が目に入った。
そこにあるはずがない物が目に入ると、人間は瞬時に様々な言い訳を考えて整合性をとろうとする。
金の玉?金塊?金のブローチ?
それはアスファルトの上でごそごそ動く大きな
金の虫。しかも、でかい。
目測であるが6センチ以上。
ぴっかぴかだあ、とびっくりした僕はいつもカメラを持ち歩いてるのですかさず撮りましたよ。
さっそく家で写真を見てみると、あれ?実際に見た感じと違うなあ。もっと金ぴかだったのに・・。
カメラを確認すると、ホワイトバランスが「フラッシュ専用」になっていたんだ。
このカメラを買ってこのかた、全く使ったことのない設定に、こんな時だけ、なんでだ!!いつもカメラを持ち歩いてるだけだよお前わ。
フラッシュ専用ということは、多分、青みがかってしまっているはずだ。
ということでオレンジ系に修正してみた。
うーん。アスファルトの色はこんな感じだったけどね。もっとぴかぴかだったんだよ僕の目には。
いったい、なんていう虫かなあと思って調べましたがさっぱりわからず。
古来よりキラキラ甲虫として「玉虫厨子」でも有名なタマムシは、スリムだし。
コガネムシかなあと思ったけど、こいつは小さいし緑色だし。
ネットで探してもよくわからなかったので、図鑑を観てみると
「シラホシハナムグリ」というのに似ている。
そして虫に詳しい界隈の人によると、「シラホシハナムグリ」にとても似ている
「シロテンハナムグリ」というのもいるらしい。
もうよくわからなくなってきた。
ハナムグリというのは大型の甲虫で、コガネムシの仲間らしい。
漢字で書くと「花潜」と書くからなんだか風情があるなあ。花にもぐるんだろうか。
シラホシハナムグリとシロテンハナムグリの見分け方は、背中の模様と頭の形。
どっちだ・・
右のシロテンハナムグリの特徴は、Mっぽい模様と、桃みたいにキュートな頭。
左のシラホシはMになりきれない崩れた模様と丸い頭。
ということはお前はシロテンハナムグリだ!!
金のシロテンハナムグリは大きな羽をバッと出すと、夕日に向かってぶうううんと飛んでいってしまった。きらきらしながら。
僕はその美しい様子をカメラを持ったまま、ただただ眺めていたのでした。(撮れよ)
シロテンハナムグリについて調べてみると、
カブトムシ亜目のコガネムシ科。樹液を食べるかわいいやつらしい。
緑や銅色もいるんだって。
生息地は本州、四国、九州。ふーんっ・・て北海道にいないのかよ。
荷物に入って間違って北海道に来ちゃったのかい
そもそもシロテンハナムグリじゃないのかい
おまえは誰なんだ、金の虫。