どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

北海道民の盆踊り唄と、北海道発祥の子供盆踊り。

お盆でございます。

 

僕が東北に住んでいた時の話。

盆踊り大会が開かれました。団体出場で優勝すると豪華賞品がゲットできるというので、僕は人数合わせのために出場させられました。

「前の人見てれば踊れるから」

踊りの審査があるにも関わらずテキトーな指導のもと、いざぶっつけ本番。

 

さあ太鼓の音から始まって・・・・、・・??

え何この曲?

知らないんですけど踊れないんですけど!汗

 

審査結果は御想像の通りですが、僕はこの時初めて盆踊りの曲に地域差があるのを知ったのでした。全国同じだと思っていたのに!

 

 

 

①北海道の盆踊りソウル「北海盆唄」

北海道の盆踊りの曲といえば、「北海盆唄(ほっかいぼんうた)」。

北海道のほとんどの地域でこの曲が使われていると思います。


三橋美智也 北海盆唄

 

北海盆唄は戦後に作られたものなので、歴史は浅いです。

では「北海盆唄」が登場する以前、北海道の盆踊りはどうしていたか?

 

団体で北海道へ移住してきた地域では出身府県の盆曲、炭坑労働者の間では「炭坑節」が使われていたそうです。

炭坑節はいわゆる猥歌というもので、どんな歌だったのかはここでは書けません・・。

まあ昔の労働者の唄ではよく見られることです。

 

そんなカオス的状況だったのを「北海道民謡の父」とも言われるレジェンド民謡歌手、今井 篁山という方が良い感じにまとめ上げて誕生したのが「北海盆唄」。 

その歌を、かの三橋美智也がレコーディングし、大ヒットしたおかげで全国に普及しました。

今となっては三橋美智也を知らない方の方が多いと思いますが、彼は昭和30年代に日本で絶大な人気を誇った演歌歌手。当時にして1億600万枚のレコード売上、32曲のミリオンセラーを記録し、「三橋で明けて三橋で暮れる」という言葉まで生まれました。

ちなみにカールおじさんの唄を歌っているのも三橋美智也です。


'86-90 お菓子CM集vol.12 明治 カール

 

 

ドリフターズの「8時だョ!全員集合!」オープニングで

「エンヤー コーラヤット ドッコイジャンジャンコーラヤ!」というくだりがありますが、実は「北海盆唄」が元ネタ。


8時だョ!全員集合! オープニング

テンポはドリフの方が早めですが、実は北海盆唄の替え歌です。 

 

 

北海盆踊り発祥の地は三笠市

先ほどもちょっと触れましたが、「北海盆唄」は炭鉱で歌われていた歌などが原型になっています。

で、それは「べっちょ節」といういわゆる猥歌、ちょっとやらしい歌なのですが、それが「北海炭坑節」になり、編集されて「北海盆唄」になったわけです。

その発祥の地とされているのが三笠市であります。

三笠市は以前の記事にもありますが、アンモナイト博物館で有名な空知地区の町です。

dosanko-camera.hatenablog.com

 三笠は大きな炭鉱があり、今は閉山してしまいましたが炭坑施設が残されています。

当時三笠の町は、今では想像できない数の炭鉱マン、その家族、炭坑会社の従業員であふれかえっていました。盆踊りもさぞ賑やかだったことでしょう。

その賑やかさを再現&北海盆踊り発祥の地をアピールするため、三笠市では「三笠北海盆踊り」が毎夏開催されています。

なんと三階建ての櫓を囲んで踊るそうです。一番上の階は恐そう。

 

 

というわけで、北海道民が慣れ親しんでいる盆踊りの曲は「北海盆唄」という曲で、三橋美智也のおかげで全国的に普及した。

北海盆唄は三笠の「炭坑節」が原型になっている。というわけでした。

ちなみに北海盆唄は健全?な歌詞ですが、北海道内でも地域によって歌詞が若干変わっています。三橋美智也がレコーディングする前からレパートリーがあったようです。

冒頭の「北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り」は共通ですが、その後はどんな歌詞か、もしかしたらあたなの町の盆踊りはトクベツかもしれません。

 

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▲「さっぽろ夏祭り」の様子。もちろん北海盆唄 

 

 

 

 

 ②北海道発祥の「子供盆おどり唄」

 


子供盆おどり唄  歌 持田ヨシ子

 

 僕にとって盆踊りといえば、北海盆唄よりむしろこっち!

しかしこれも北海道独自のものなのです・・・・・。

 

これは「子供盆おどり唄」というものです。

北海道の盆踊りはだいたい2部構成になっていて、夕方~真っ暗になる前までは「子供盆踊り」の時間、暗くなってからは「大人の盆踊り」の時間、と決められています。

僕も子どもの頃はこの曲で踊って、お菓子を貰いました。

 

「子供盆おどり唄」がどうして生まれたかというと、先に書いた通り、当時の大人盆踊りの歌詞が子供に聴かせられる内容ではなかったから。

というわけで当時の北海道教育委員会が作詞を童謡詩人の坪松一郎に、作曲を童謡作曲家の山本雅之に依頼したのが始まりです。

 

作詞を担当した坪松一郎は童謡詩人ですが、当時江別市で校長先生を務めていたそうです。

そんな経緯もあり、江別市の公園には「子供盆おどり唄歌碑」があるそうなので行ってみました。

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 立派な公園です。

 

 

 歌碑を発見

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歌詞が刻まれています。

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僕は今まで「ちゃんこちゃんこ」だと思っていましたが、「シャンコシャンコ」が正解の様です。

実は「ちゃんこちゃんこ」バージョンも存在していたのですが、歌い手の著作権侵害が問題となりちゃんこちゃんこバージョンは廃盤にされた事実があります。あながち聞き間違いではなかったかも?

 

 

 

写真を撮り終えて、せっかくだし近くで何かご飯でもとうろついておりますと、車の窓から「子供盆おどり唄」が聞こえてくる・・・・!!

こわ!

 

車を降りて散策しますと、近所の公園でまさに子供盆踊りの真っ最中でした。

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櫓の上では男の子が上手に和太鼓をたたいています。そして流れる「子供盆おどり唄」のテープ。

タイミングが良すぎて、怪奇現象かと一瞬ぞっとしました。