こないだ会社で「わかさいも」を食べておりましたら、
「これって、わかさいもっていう品種のイモ使ってるの?」
って話が出ましたよ。
僕は悲しくなりましたね。わかさいもに芋が使われていないことを知らない道民が、いまだにいることに。
「わかさいも」っていうのは北海道で80年以上愛されているお菓子であります。
甘じょっぱい皮に、ほこほこの芋の様な餡がくるまれたお菓子。
1930年の発売当初からほとんど姿を変えていないそうです。
で、原材料に芋は使われていません。
芋を使ってないなら何で出来てるのかっていうと、
大福豆と(こういうやつね↓)と
昆布
からできています。
食べた時に感じる芋の繊維のような物は実は昆布なんです。いい仕事してますね。
割ってみるとわかります。よく見れば昆布。
白いのは芋じゃなくて大福豆(インゲン豆)でできてますよ。
書いてあるわ
なんで芋を使ってないのか?
別に使いたくなかったわけでは無くて、わかさいもを作り始めた当時の北海道では、サツマイモがとれなかったんですよね。
で、わかさいもの原形を作った若狭函寿さん↓が
「サツマイモの無い北海道で焼き芋のおいしさを表現したい!!」って感じで誕生したのがわかさいもでございます。当初は「やきいも」っていう商品名だったみたいですね。
「わかさいも」は洞爺湖の「わかさいも本舗」が作ってるんですが、
似たようなお菓子が札幌の「わかさや本舗」から「いも風味」という名前で出ています。どちらも創業が大正頃と古く、創業地が近いこと(黒松内、寿都)と、創業者の名前が同じ若狭さんであることから何らかの関係があるかもしれません。
この時期この一帯で、無性にサツマイモが喰いたくなったのかも知らんし。
個人的にはサツマイモっていうよりジャガイモに似てない?と思うのですがね
まあおいしいからどっちでもいいんですけど。
なぜサツマイモを再現するのにそんなに熱意をもったのかはちょっとわかりませんが、人間無いと言われれば逆に欲しくなる生き物ですからね。
パッケージが変更されたよ
2019年6月まではこちらの、おおば比呂司さんが描いたパッケージだったんですが、7月から黄色いパッケージに変更されたみたいですね。
僕はおおばさんの絵の方が好きだったなー レトロでかわいかったよね。
おおば比呂司さんは巖手屋の南部せんべいとか、ホテイのやきとり缶とかのデザインもやってるんでどこかで見た事あるのでわ
蛇足ですが
札幌市資料館に「おおば比呂司記念室」があるんで興味ある方はぜひ(無料ですよー)
あたらしいパッケージはこんな感じ↓
サツマイモよりジャガイモ
さて、「サツマイモとれないけど焼き芋食べたい!」みたいな衝動から作られた「わかさいも」ですが、ほんとに北海道にサツマイモって無いみたいですね。
サツマイモが本格的に日本で栽培されるようになったのは1705年頃、琉球から持ち帰ったものを薩摩藩で栽培したみたいです。
今でも暖かい九州が主な産地です。
一方北海道はジャガイモの生産量は日本一なんですけど、サツマイモってほぼ作ってないんですよ。今でも。
っていうのもサツマイモは育つのに20度以上の温度が必要だそうで、寒い北海道ではハウス栽培か、温度管理を徹底しない限り(つまり農家さんにとってはコストがかかる上にめんどくさい作物)できないみたいですね。
でも石狩とか一部の地域では順調に出荷してるみたいなんで、北海道産サツマイモってのもそのうちメジャーになるかもです。
温暖化もしてるし。
話を「わかさいも」に戻しまして、こちらは同社から出している「あんぽてと」なるお菓子。
こっちはほんとにサツマイモが使われてまして、
「創業時にもしサツマイモが存在していたらどんなお菓子を作るのか?」というコンセプトでつくったお菓子なんだそうです。
使用しているサツマイモは本州産だと思います。いつか北海道産のサツマイモであんぽてとができれば、若狭さんも草葉の陰から嬉し泣きしてくださるでしょう。
お菓子にはいろんな話がありますねー