どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

イメージで地域性を語るおかしみ。大阪か北海道。

大阪にちょっと行ってきた。

 

大阪には高校生の修学旅行でしか行ったことがない。

といっても当時の僕は道頓堀を歩いただけ。

つまり大阪ってどんなとこなのか全然知らないのである・・・。

 

ニュースでは護送中の被告が逃げ出したり犯罪集団が暴れたりする大阪が報じられていた。商業施設でマウンテンバイクで爆走する大阪が報じられていた。

大阪名物はたこ焼きとお好み焼きで、おばちゃんはみんなヒョウ柄の服を着ている。

つまり以上が僕の知っている大阪である。

 

 

意外なことに大阪で飲んだコーヒーは札幌で飲んだコーヒーと同じ味である。

激辛味とかワサビ味じゃなくて残念である。

あつあつのコーヒーに口を付けても、誰も「なんでやねん!」といって突っ込んではくれなかった。残念である。

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テレビができて、それからネットで世界がつながって、僕らは広い世界を知るようになった。一見そう思えるようになった。

しかしどの世界にも「お金」が絡んでくるのであって、例えば都道府県別にタレントが出演してその地域性を面白おかしくアピールしたりしないと視聴率がとれなくてテレビマンもタレントもお金が無くなってしまうのである。

同様にいかなる事件も盛り立ててニュース記事にし、それにコメントを付けてユーザーを確保し、あたかも世の中が悪い方向に向かっているようにしないと、ニュースサイトや記者は書く事が無くなるのでお金が無くなってしまうのである。

 

 

 

そんな事あたりまえだと言われるかもしれない。

では北海道について知っているだろうか。

北海道民はいろんなところから来た。僕らは東京から、青森から、富山から、福井から来た。アイヌの村から来た、遠い大陸から来た。

僕らは農業をしたり漁業をしたり、会社員をしたりフリーターをしている。強制労働をさせられたりした時もあったし、飯にありつけず死んだ時もある。

 

僕らは北海道に住んでいても、北海道について何も知らないのではないかと思う。

僕らは大通まで自転車通勤する人の仕事の悩みを、すすきので一人アパートを借りて暮らす人の生活の侘しさを知らないのではないかと思う。

共働きの両親が帰ってくる間に、ひとり夜の雪かきをする少年の夜の静けさについて、吹雪の日も晴れの日も図書館で暖をとる老人の孤独についてを知らない。

あるいは旭川のサンロクを意味もなく深夜までたむろする少女たちの学校生活のこと、岩見沢の農家を辞めて会社員になった男が、壊れた家庭を再建したこと、新得で生まれた女が帯広に転職して職場の同僚と結婚したことについて。

あるいは東京で歌人になり、漁師をしながら余市で死んだアイヌについて。

僕らは彼らの人生や、その苦しみについて何も知らない。

 

だれも普通の北海道を知らない。道民のふつうの生活を僕らは知らない。

 

 

旅をするたびに思うのだけど、自分で見て触れたものがすべてなのである。

北海道にいようと大阪にいようと半径3m以内が世界なのだな、と思いながら念願の大阪スパイスカレーを食す。

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札幌で食べたスパイスカレーと同じような味がした。

 

 

 

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ただひとつ言えることは、大阪のおばちゃんはイメージ通りだった。

赤い帽子、赤い杖、赤い靴でキメたおばちゃん。バスの中で厚労省に電話で怒鳴り込むおばちゃん。なぜかトイレの前でお客さんと話し込むトイレ掃除のおばちゃん。

写真はお好み焼き屋のおばちゃんが写真撮影のために鰹節を増し増しにしてくれたとこ。