牛乳ではなくヤギの乳でつくったソフトクリームがあるというので行ってみた。
その名もメーメーやぎ琴似店
こちらの店は、日高町にある自社牧場「弘安ヤギファーム」で飼育されたヤギの乳を使ったソフトクリームを販売している。
弘安ヤギファームは観光牧場ではないので一般公開はしていない。
ヤギだけの牧場で、しかも客集めをしていないというのは珍しいと思う。それだけ飼育に力を入れているのかもしれない。
メニューはこちら。
ソフトクリームの他にプリンやババロアもある。どれもヤギのミルク使用。
そして嬉しいことに宮越屋珈琲が飲める。
しかしヤギの乳といえば、問題はその匂い・・・・
ヤギの乳を飲んだことない方には全く伝わらないと思うので頑張って言語化してみると、ヤギの乳の味というのは、コップの水に動物園のチンパンジーの檻の前を通りかかったときの臭いを混ぜ、そこから類人猿の臭みをとって家畜の優しさを足した様な臭いである。
僕はまだかわいらしい子供時代にこれを飲んだことがあるのだが、清涼飲料水や果汁に馴らされた舌に野生の世界から強烈なアッパーをくらわされた記憶がある。それから大人になっても飲まずにいる。
ほどなくしてメーメーソフト登場。
さてそのお味は・・・
おそるおそる食べると甘くて濃厚である。
メニューには、「自家生産山羊乳の他、糖類と乳製品が混ぜてあります」云々と書かれている。果たしてこの濃厚さはヤギ乳のなせる業か添加物の所業なのかはわからないがヤギが9割という事は無いだろう。
牛乳より濃厚で美味である。と思いつつも、どこかにあの匂いはないかしらんと口腔内を普段の何倍にも味覚と嗅覚を働かせてしまうのであり、無いと言われると探してしまうのが人間の卑しさというものである。
ちなみに匂いは少しだけするが気にならない。
店内はなんだかリノベーションしたような真っ白な壁に、無造作にヤギの写真が架けられている。
あまりにも無造作に架けられているゆえ、写真を固定する金具に僕の一張羅のシャーツが引っかかり傷んでしまったほどある。
これだけヤギに囲まれ見つめられるとは、狂気さえ感じる。
壁の白さ、ヤギの目、ランダムにおかれた無秩序な花・・・・
なんだかそういうクリニックの待合室にいるような気分になり、僕はコーヒーをすすりながらしばらく乳について考えた結果、以下の様な疑問にたどり着いた。
牛の乳もヤギの乳もあるのに、なぜ豚乳は無いのか。
同じ家畜なのになぜ豚乳(とんにゅう?)は無いんだろう・・・
調べてみると豚は神経質なので、ヒトが乳しぼりをするのを大変嫌がるらしい。それに加えて1回に搾乳できる量がとても少なく、ヒトが飲める量を確保するには効率が悪いそうだ。
欧州の畜産系の資料を見ていたら世界的には牛、水牛、ヤギ、ヒツジの乳はそれなりに生産量があるにも関わらず、豚は全く無いのである。つまり畜産が発達した欧州においても豚乳は一般的でないのだ。
ヤギの乳は珍しいと思って来たが、真なる珍味は豚の乳なのである。