どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

ゴールデンカムイを教育的なマンガだと思ってしまった男の末路

僕はある時からマンガを読むのをぱったりやめてしまった。

だから良い読み手ではないかもしれないし、マンガにも詳しくない。

にもかかわらずゴールデンカムイをおすすめしたいのである。

 

2,000文字くらい書いてるので興味のない人は読まなくていいんだけど、もしその中にゴールデンカムイって教育的なマンガなのでは?と思ってる悲しい人がいたら読んでほしい。

 

 

ゴールデンカムイはどんなマンガかざっくり書くと、アイヌの女の子と元兵隊さんが、北海道のどこかに隠された金塊を探して冒険をする話である。歴史上の人物が登場したり、北海道史に基づいた場面もある。

 

このブログは北海道がテーマであるから、北海道を題材にしたゴールデンカムイをもっと昔に紹介していてもおかしくないのであるが、僕はそうしなかった。

 

何故なら僕は、「ゴールデンカムイは教育的なマンガに違いない」と、勝手に思い込んでしまっていたからである。

これはそんな男の哀れな話である。

 

 

話は数年前までさかのぼる。

ゴールデンカムイはすでに人気が出ており、札幌市内ではゴールデンカムイをテーマにしたアイヌ民具の展示が開催されたり、博物館に行けばゴールデンカムイのアニメのパネルがあったのだった。

そのパネルにはこう書いてある。「北海道はゴールデンカムイを応援します!」

 

 

・・けッ

僕はそういう、応援しますとかって言葉を体制側が使っているのを見ると反吐が出る体質だ。夢とか希望とか愛は世界を救うみたいな言葉が嫌いなのである。もって生まれた性質なので致し方ない。

 

僕はこの頃こう思っていた。

ゴールデンカムイは、おそらく作中で偶然アイヌを取り扱ったところを北海道の教育機関がこれはいいやと大きく取り上げ、アイヌ文化の教育的広報に役立てるために利用しているのだろう。だから話題になっているのだ。よくある話だ。と。

 

 

読んでもいないのに勝手に「教育のためのお上品なマンガ」のレッテルを貼った僕に対し、ある日心優しい友人がゴールデンカムイのマンガを貸してくれた。

 

「北海道のブログ書いてるでしょ? これ、おもしろいから読んでみたら?」

 

せっせとこのブログを書いていることを知っている友人は、ネタになるだろうと、わざわざ貸してくれたのである。

こうして僕は、めでたくゴールデンカムイを好きに・・・・

 

なっていなかった。

 

友人が貸してくれたのは人気が出始める前で、確か1巻と2巻くらいだったと思う。

それをざっと読んで思った。

 

「なるほど、最近流行りのアウトドア系にのっかったグルメマンガかぁ」

 

言い訳をさせてほしいのだが、この時期めちゃ仕事が忙しく、私生活も破綻、幻聴、幻視がおこるなどしてあらゆる外部情報が頭に入らない混迷ぶりだったのである。

 

せっかく与えられたチャンスを無駄にした僕は、それからゴールデンカムイの存在を忘れていたのであった。

 

 

 

このブログを始めるずっと前からアイヌ文化や北海道の歴史が好きだった。

ブログを始めたのがきっかけで各地を訪れていた。

例えば樺戸集治監とか月寒あんぱん道路とかニシン番屋夕張炭鉱とかぁー

もうわかりましたね、全部ゴールデンカムイの聖地じゃん‥‼︎

 

時は流れ外出できない世の中になり、ふと読んでみたゴールデンカムイ。

とてもおもしろい

 

こうして、読んでもいないのに勝手にレッテルを貼った男は、久しぶりにはまったマンガの聖地をマンガを知る前にさんざん巡り、今では聖地巡りもできない世の中になってしまいましたとさ。

 

 

予備知識があったから面白かったといえなくもないけど、頭の固くなったレッテル野郎はストゥでお仕置きですよ。

なにかと批判だけは簡単にできる世の中ですが、気を付けないと楽しみが手に入らない可能性もあるのだな、ということが身に染みたのでした。

 

 

 

結局どんなマンガなのか

端的に言うならば、

勃〇という言葉で泣ける世界でただ一つのマンガ

それがゴールデンカムイです。

 

読む前→「教育のためのお上品なマンガ」

読んだ後→「変態しかでてこないやばいマンガ」

 

ていうかよく北海道が応援しますって言ったな。

むしろそういう体制に対して作者がわざと変態さを加速させているのだろうか?宇佐美とか。

僕ごときが面白さを説明してもダメだと思うんで、ある程度変態さが大丈夫な人はまず読んでみてください!

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面白さについても少し真面目に書くとしたら、キャラクターをきちんと人間として描いてるってとこではないか。

一応主人公と敵役に分かれてはいるんだけど、黒と白に分かれるんじゃなくて、実際、作中で主人公と敵対勢力は手を組むこともあって、はっきりこいつが悪でこいつが正義だ、とは言えない。

敵も味方もみんな基本的にはいい人だから、精神衛生上不快な点が少ない感じがしますね。

あと、アイヌの女の子が出てくるだけど、その子がいわゆるマンガにおける「女の子の定型文」にはまっていないのがとてもよい。全体的にいえることなんですけど、キャラが自立してるんだと思います。

 

この漫画の一番の功績は、それまで扱うのが何となく躊躇われたテーマをコンテンツに取り入れ、しがらみを笑いとか明るさで吹き飛ばしたことでしょうね。

結果的にそういう文化に目を向ける人が増えたと思います。

それまでアイヌを題材にした作品は確かにありましたが、どれも暗かったりひどい話だったりが多い(それもひとつの「定型文」だと思う)

明るいからといって誰でもポリティカルな問題を、ストーリーとすり合わせながら回避できるわけではないので、そこはやっぱり作者のとんでもない才能だと思います。

 

 

 

▼全話完結したら紙の本買いそろえたい(でも終わらないでほしい)

 

 

 

▼原作のイメージが崩れちゃうかもと思ってアニメ見ないようにしてたけどまあまあよかった(さすがに1話目はひどいけど)

 

たまに理解できない変人(姉畑とか)も出てきますが、おおむね変態たちに共感できてしまうのが恐ろしい。

個人的には汚れ仕事を淡々とこなす月島が闇堕ち社会人みたくて共感しています。

 

もうすぐ最終章だけど、どうか最後は登場人物たちみんな幸せになってほしい・・・

ゴールデンカムイを読まなかった男は、いまそう願っています。

 

まそんなことはどうでもよくて、みんなゴールデンカムイ読んでくれッ‼︎