どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

自作蒸留器で薄荷の蒸留に挑戦。マッドサイエンティストの素質があるかもしれない。

北海道の薄荷(ハッカ)つまりミントは、世界一だった時期がある。
合成ハッカや海外産に抜かれるまで世界一のシェアだったのだ。
以前にも書いた通りである。

dosanko-camera.hatenablog.com

一大生産地だったのが北見市だ。
以前北見ハッカ記念館を訪れた際に、来場記念に和種薄荷の苗をもらった。
(外来ペパーミント類と区別するため、日本で品種改良されたものを和種薄荷と呼ぶことがある)

 

 

空き地に植えておいて何年もたつが、毎年気づくとにょきっと生えてきている。
繁殖力が強いそうで、敷地外に繁殖したら大変だからとごっそり引き抜く年もあるが、翌年には素知らぬ顔でやはりはえている。たくましい。

しかし毎年はえているだけではもったいないので、いつか蒸留して薄荷の精油を作れないかと考えていた。
かつて昭和時代に北見で行われていたように・・・・

 


そもそも蒸留なんてご家庭でできるのだろうか?
これができるらしい。

やってみよう!

 


蒸留器の仕組みは簡単。
水を熱した蒸気で成分を集め、それを冷却すればいい。

f:id:tamayoshi:20211001210844j:plain




遭難したときに飲み水が無かったら、海水を蒸発させてビニールで水滴を集めるという、どこかで聞きかじったサバイバル知識が思い出される。原理はそれと同じだ

 

実は蒸留器は市販されているのだが、値段がバカ高い。

自作する場合、金属製の鍋や銅管の方が熱伝導率が良いが、やはり材料に金がかかってしまう。

諦めてはいけない。

かつて北見で使われていた「田中式薄荷蒸留器」だって木製だったではないか。

 

 

まずは薄荷を採集し、日陰で2週間ほど干しておく。

 

f:id:tamayoshi:20211001143705j:plain

 

 

蒸留装置を用意する。

f:id:tamayoshi:20211001143715j:plain

「どさんこ式薄荷蒸留装置」である。
購入したのはAmazonでシリコンチューブだけ。

 

熱源はパナソニックのミニクッカーで、本来は炊飯に使用する家電であるが、土鍋で米を炊くスキルを身に着けたため現在は不用品になっている。これを使う。
ミニクッカーをシリコンチューブで空き容器と繋ぐ。それを缶の中に入れる。


缶には水を入れて冷却装置にする。

f:id:tamayoshi:20211001143745j:plain

 

空き容器にはうまくいけば蒸留水がたまるはずだ。

ガラスの小瓶が望ましいが無かったので使い終わった消毒用スプレーボトルを採用。

中が見えないため、あらかじめ容器の重さを測っておく。

f:id:tamayoshi:20211001143728j:plain

 

蒸留開始だ。

乾燥薄荷をザルに入れ、下に水を入れてスイッチオン。

f:id:tamayoshi:20211001143738j:plain

f:id:tamayoshi:20211001143742j:plain

しばらくすると何とも爽やかな薄荷の薫りが部屋に立ち込める。
良い感じである。

 

 

f:id:tamayoshi:20211001143750j:plain

しばらくするとチューブに水滴もたまってきた様子。

 

そしてどんどん臭くなってくる。
臭くなってくる?
なんで?

トップノートは爽やかな北の大地の薫り、ミドルノートはアニマリックで野性的な腐った鹿肉の薫り、ラストノートは鹿と20年開けていない資料室のロッカーの薫り。
くっさ!!
しかしここで負けては男が廃る。さらに我慢すること10分、臭さで頭痛がしてきた。

部屋の窓を全開にして換気扇を回す。さすがにもうストップだ。

 

何でこんなに臭いのだろう・・・

薄荷の匂いと獣臭の匂いがまじったようなのが鼻の奥から消えない。

窓を開けてても臭いんですけど。

 

 

f:id:tamayoshi:20211001143754j:plainなんと4gの精製水ができている!

 

 

この臭さはともかく、精製水は不純物が取り除かれ爽やかな香りに違いない。


くんくん

f:id:tamayoshi:20211001143757j:plain

くっさっっ!!!!

 

 

 

こうして「どさんこ式薄荷蒸留装置」は廃棄され、あまりの匂いに部屋に入れなくなった僕は1時間程度の散歩を余儀なくされたのだった。

 

臭いの原因はよくわからなかった。

作ってはいけない何かを作ってしまったのかもしれない。
外はすっかり秋めいて、夕日を背にカラスがバカにしたように鳴いていた。