北海道が、っていうか世界レベルで気候がおかしい今日この頃。
いわゆる「温暖化」です。
北海道にはどの程度影響があるのでしょうか?
気象庁と道総研が研究したデータを参考になんとなく考えてみます。
ほんとに気温は上がっているのか?
「温暖化温暖化!」って騒いでるけど、ほんとは大したことないんじゃねえの?
と思う方もいましょう。僕もそうです。こちらのグラフをご覧ください。1898年~2017年までの平均気温です。
黒:各年の平均気温の基準値からの偏差、青:偏差の5年移動平均、赤:長期的な変化傾向。
「日本の年平均気温の偏差の経年変化(1898~2017年)」(気象庁ホームページより)
あがってますねー・・・。残念ながらほんとに気温は上がってます。
このグラフからは、”日本の平均気温は100年あたり約1.19℃の割合で上昇している”という事がわかります。
で、北海道はというと、2030年に現在よりも年平均2℃気温が上昇するそうです。これは頭が良い人たちがはじき出した数字なのでとりあえず信じるとしましょう。
気温が1℃や2℃上がったところで大したことないんじゃ・・?
と思う方もいるでしょう。しかし、たかが1℃2℃とあなどってはいけません。
2℃上がれば水産資源や農産物に被害が出始め、3℃上がれば生物に影響が出るそうです。「平均気温」が2℃も上がるんですから、年間にしたらめっちゃ暑い日が増えるわけで、小さい数値ですが環境にとっては大きな影響です。
一応、世界的には「2100年までに気温上昇を2℃以内に抑えるようにしようね」ってことになっています。
2℃以上あがるとコントロールがきかないくらいやばくなるってこともわかってるらしいですよ。
身近に感じること
裏付けデータを探すのが面倒だったので 僕が北海道で暮らして、昔と違うなあ。と感じる事をあげてみます。
①雨が多くなった
このブログを書いている今、札幌は雨。1月のこんな時期に雨なんて、少なくとも僕は初めての経験です。
特に雨が多かったのは2017年。この年の札幌市の6月上旬の降水量は、なんと平年比368%!!
統計開始以来の記録になりました。降りすぎですよね。
雨の日が多くなるというのも、実は温暖化と無関係ではありません。
温暖化で暖かくなると水分蒸発が増えます。すると雲が増えます。という事は雨も増えるというわけです。
2030年の予測では、北海道の降水量は、現在の1.2倍に増えるそうです。
②夏の暑さが本州っぽい。
本州っぽいというと感覚的な話になってしまうんですが、ほんとに感覚的に昔と違うんですよ最近の夏。じめ~っとしていて暑い。暑さもすごい。
昔の北海道というのはカラッと晴れて、涼しい風が吹いて、そんなに気温も上がらなかったのですが、今では30℃超えなんて当たり前になっています。
これまた2017年に北海道は記録的な暑さになりまして、1892年以来、実に125年ぶりに札幌で3日連続真夏日を観測しています。
さらに2019年7月には、50年以上ぶりに札幌で2日連続の熱帯夜となりました。
③台風が来るようになった。
これはもう北海道の異常気象の、象徴的現象でしたね。2016年の台風です。
それまで台風が北海道まで北上するなんて、ほぼ無かったわけです。
しかも台風が4つも来るなんて誰が予想したでしょう。
④エゾシカ・ヒグマが増えすぎ
シカだらけってくらい北海道ではシカが増えています。当然食害も増えています。最近ではシカと車、列車の衝突事故も増加傾向。
それからヒグマが住宅地にまで出没するようになりました。特に2018~2019年
僕が育ったのはわりと田舎だったのですが、それでも住宅街にシカが出るとかヒグマがでるなんて聞いたことありませんでした。
彼らは山のものだったからです。
これは裏付けデータが無いんですけど、野生動物が「寒すぎて死ぬ」とか「雪多すぎて死ぬ」っていう冬サバイバルレベルが、暖かくなることによって低くなってる気がするんですよね。
あと気温が上がることで食べ物にしていた木の実や魚が減ったという事は高い確率であると思います。
で、これらの実感の原因を求めるとやっぱり温暖化にたどりつきます。
先の研究によると、2030年、北海道への影響としては
・平均気温上昇(平均2℃、多いとこで3℃近く)
・雨が増える
・日射量が減る
というのはどうやら確実らしいです。
日頃の生活で感じる違和感はこの予兆かもしれません。
温暖化が進むと北海道が米どころに??
温暖化によって北海道が米どころになっていくかもしれせん。
これ実は数々のデータの裏付け以前に、割と日常会話で出る話です。米どころと言えば東北ですが、イメージ的には米どころが温暖化で北上してる感じです。
もちろん、米の品種改良や農家さんの努力によって昔より美味しくなったのは言うまでもありません。
しかし温暖化によって米の産地が北上しているのは事実です。
なんで米が旨くなるのか、というのはちょっと専門的な話になります。
コメの味を決めるのにはアミロースと、タンパクが重要です。説明は端折りますが、アミロースとタンパクの値が高いと米の味は落ちます。
アミロースもタンパクも出穂後数十日の日平均積算気温が高くなることで低下します。となると、暖かい方がおいしい米もできやすいわけです。
でも暖かいという事は、お米がカビや病気にやられるリスクも上昇するんですけどね・・
その辺は品種改良でカバーしてもらいましょう
温暖化で米どころが北上するのは、現時点ではメリットのようにも思われますが、現在の米どころである東北、北陸地方が暑さに見舞われる可能性があり、確実に温暖化が進んでいる証拠でもあります。
今後は暑さに強いお米の品種改良というのも必要になってしまうのかもしれません‥
米以外はうれしくない
米がおいしいならおっけーかというとそうではなくて、じゃがいもとか豆類とかは品質が低下するらしいです。小麦なんかは湿気に弱い作物なので、雨が多くなることでとれる量が20%近く減少します。
牛のエサである「牧草」、これも北海道でたくさん生産しているのですが、温暖化で日が差す時間が短くなることによって、2030年、収量は20%減になる予想です。
牛乳を出してくれる、白黒柄の牛「ホルスタイン」は、実は暑さにめちゃ弱いです。熱射病になると死ぬこともあります。
ホルスタインが快適に過ごせる温度は18℃前後と言われていますから、30℃を超える夏の北海道の暑さは相当ストレスになると思われます。ストレスがかかると乳質にダイレクトに影響がでるので、やはり牛乳・乳製品も品質の低下があるかもしれません。
北海道は日本の食糧基地なんで、日本の食卓にも影響するかもです。
温暖化の発端っていうのは産業革命から化石燃料をめっちゃ使い始めたからで、これは自然現象ではなく人間のせいです。
でも「人間」といってもそれは僕自身の事やあなた自身のことではなく、過去100年以上前の大勢の人類のやったことのせいです。
自分のせいじゃないのになんでそんな尻拭いをせなあかんのか?
発展途上国ではまだ燃料をバンバン使いたいわけで、そもそも先進国のみんながやった尻拭いをなんでやんなきゃいけないの?っていうか環境保護どころじゃないし。みたいな国もたくさんある。
そういった中で環境問題に取り組むというのは、実は大変難しいのでございます。
科学技術を発展させた結果、こうして何十年も先の環境の予測を立てられるようになったのですが、それをいま実践できるかどうかは我々の肩にかかっているわけですね。
大変難しい問題です。
これ戦争とか放射能の話も同じことがいえますね。
一回起きちゃうと、どこかで止めないとどんどんひどくなる。
自分自身は何もしていないのに過去の過ちで責められる。悲しむ。
もしくは未来の世代で諍いが起きる。
国や人種を超えて連帯して気温上昇さえも抑えられないなら、それ以上のこともできないでしょう。それなら人類は滅びた方がいいのかもしれません。
というわけで、北海道は2030年、ますます暑くなるでしょう。