お正月にダラけすぎて、僕は今こんなぼんやりした顔になっていると思います。
どこにも出かけていないので写真のストックが尽きました。
なので北海道と犬にまつわる話を調べてみました。
アイヌ犬(北海道犬)
犬種の一つ。今は「北海道犬」という呼び方が一般的ですが、アイヌ犬の方がしっくりくるのでこちらで。文字通り、古くからアイヌと共に北海道で生きてきた犬種です。
狩の良きパートナーとして、そして時にはヒグマやオオカミから主人を勇敢に守りました。
アイヌ犬の展示会(品評会)では、実際に檻に入れたヒグマと対峙させて闘争心を審査する「獣猟競技会」を実施しているところもあります。
秋田犬や甲斐犬と同じく国の天然記念物に指定されていて、数はあまり多くありません。
国で指定されているだけあって、「標準体型」という望ましい大きさが決まっていて、体高(肩の骨から地面までの高さ)が48.5センチくらいが良いそうです。なんだか数字だけ見ても分かりませんが、中型犬に分類されます。
毛皮は、毛の下にさらに綿毛がある二層式で、寒さにとても強いです。
こちらは以前行ったアイヌ民族博物館で飼われていた、アイヌ犬のゆめちゃん。
この犬もアイヌ犬です。

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お父さんによってあまりにも白色が有名になってしまいましたが、赤、黒、虎、胡麻(茶や白が混ざった色)、狼灰(ジャーマンシェパードの様なまだら色)がいます。
ペットショップで見かけたことはありませんが、ネットを見ていると道内にブリーダーさんが結構いるようです。
飼育に興味がある方は、一般社団法人天然記念物北海道犬保存会のホームページがあるので、こちらのサイトから辿ってみるのもいいかもしれません。アイヌ犬についても詳しく書かれています。
ちなみにアイヌ語で犬は「セタ(seta)」といいます。
特に白色の犬はオオカミ神の子孫とされ、大事にされていたそうです。
樺太犬(カラフト犬)
樺太、千島列島(北海道より北のロシア領)で誕生した犬種。
「南極物語」で有名なタロとジロも樺太犬です。
体高は54~67㎝と、前述のアイヌ犬より大きく、毛の長い個体が多かったようです。中型~大型犬に分類されます。
昔からアイヌや北方民族のニブフ達の犬ぞりに欠かせない存在でした。
北海道でも古くから漁業や木材運搬に欠かせませんでしたが、馬と同様、車の登場で飼育数は減少します。その後、エキノコックス(寄生虫が原因で、キツネ、犬、人間を死に至らしめる)が大流行し、特に保護運動もなかったため、現在ではほぼ絶滅状態です。僕も生きた樺太犬は見たことがありません。
・樺太犬と南極
スノーモービルがまだ無かった時代、南極などの雪の極地では、移動はもっぱら「犬ぞり」に頼っていました。
日本の南極探検の歴史は1910年。軍人の白瀬矗が率いた探検隊が始まりです。
この時も樺太犬の犬ぞり担当としてアイヌの花守 信吉、山辺安之助に率いられた多くの樺太犬が同行しました。犬のほとんどは犠牲となりましたが、白瀬隊は日本で初めての南極大陸の上陸を果たしました。
日本はその後定期的に南極観測を行っていますが、1956年に南極に出発した第一次南極観測隊は「タロとジロ」の逸話で有名です。
タロとジロを始め、22頭の樺太犬が第一次南極観測隊と共に南極へ出発します。
(22頭は北海道各地から集められ、稚内市内ので8ヶ月訓練されました)
1957年には南極付近に到着。翌年、隊員たちの収容のために船が南極へ向かいますが、悪天候のため空輸もままならず、人命を優先して樺太犬15頭が南極に置き去りにされてしまいました。
当時は現在と比べて倫理観は低いにせよ、この行為は当然国民からバッシングを受けました。しかし隊員にとっても仲間である犬を置き去りにすることは苦渋の決断であり、隊員は最後まで犬たちと基地に残りたいと隊長に掛け合っていたそうです。
置き去りの15頭は共食いしたり逃げ出したりしないように、首輪を鎖に繋がれたまま。生存は絶望視されていました。
しかし1959年1月、南極を訪れた第三次南極観測隊は、タロとジロの2頭の生存を確認し、日本中が歓喜に沸きました。
タロとジロ以外の犬はというと、7頭は鎖に繋がれたまま死に、6頭は行方不明に。
何故タロとジロが生き延びられたかはわかっていませんが、2頭とも「首輪ぬき」ができたこと、また南極を訪れた旧ソ連隊が餌を与えていたのではないかとも言われています。
▼北海道大学植物園にあるタロのはく製
▼東京国立博物館にあるジロのはく製
はく製になったタロは札幌、ジロは東京にいます。
タロとジロは発見後、なんと再び南極の調査に同行しています。今なら発見後すぐに休ませてあげるのでしょうが・・
ジロは、再び赴いた第四次越冬隊の任務中に、南極で死亡。
タロは1961年に日本に帰国し、1970年まで札幌市の北海道大学植物園で飼われ、14歳7ヶ月の天寿を全うしました。
このエピソードを題材にした映画「南極物語(1983年)」は事実と異なる点がかなり多いです。
しかし撮影のためとはいえ、実際に犬を氷の海に落としたり、アザラシを襲わせたりと今では二度と撮影できないシーンを考えれば貴重な作品ともいえます。犬たちにとって過酷な撮影だったため、出演した俳優の渡瀬恒彦さんは、ひどい思いをしたであろう犬たちを不憫に思い、全頭引き取って飼ったそうです。
今では色々問題になりそうな作品ですが、感動大作ではなく、悲劇の中に起きた奇跡としてタロとジロを描けている点は、現代の御涙頂戴映画よりは優れています。
ちなみにこの映画に出演している犬は樺太犬ではなく、エスキモー犬です。実際の犬はもっとふさふさで大型です。
南極で厳しい仕事に就いた樺太犬たちですが、近年「環境保護に関する南極条約議定書」が採択され、南極大陸への犬の持ち込みは禁止されています。
雑種(おまけ)
小樽の消防犬 文公(ぶんこう)
昭和初頭に小樽消防署で飼われていた犬。
特に訓練を受けていないのに、火事になると勝手に消防車に乗り込んで現場に向かったそうです。どこまで本当の話か分かりませんが、消火ホースをくわえて運んだり、野次馬を整理したりしたそうです。出動回数はなんと1000回以上。
本人(犬)の意思とはいえ、これも今やると色々問題が起こりそう…のどかな時代の良いお話です。
24歳という長寿犬でした。好物はキャラメル。