どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

北海道の謎の銘菓「オランダせんべい」

みなさまこちらのお菓子をご存知でしょうか

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北海道銘菓「オランダせんべい」にございます。

 

 

 

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オランダせんべいとはなんぞ?という方にご説明しますと

 

・北海道 根室の銘菓として知られている

・せんべいなのにふにゃふにゃしている

・せんべいなのに甘い

・大きさは15センチくらいで結構でかい

・オランダはあんまり関係ない

・食べるとあごが疲れる

 

という謎の銘菓でございます。

根室市の銘菓として知られていて、おそらく根室市内では昭和30~40年頃から作られていたようです。

 

北海道外でもアンテナショップやネット通販で入手可能です。

 

が、「オランダせんべい」を製造している店は、北海道で2軒しかありません。

かつては根室市内に何店舗かお店があったそうなのですが、今はオランダ焼きの商標登録をしている「はしや」関係の2軒しかないんですね。

 

その貴重な2軒のお店のオランダ焼きを紹介しますよー

 

 

 

株式会社はしや札幌店

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オレンジのオランダせんべい看板がまぶしい札幌市西区の「はしや」さんであります。

 

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こちらが、はしや札幌店のオランダせんべい。

札幌のお店ですが、見ただけで根室銘菓とわかるすてきなパッケージとなっております。

 

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思ったより甘めで、食感はふにふに~というよりはゴムゴム!といった感じで、かみちぎれないので前歯がもっていかれそうになります。

噛めば噛むほど味が染み出すのですが、弾力があるのでかなりあごを使います。

 小麦粉と砂糖と膨張剤とかだけなんで、ほんとにシンプルなお菓子です。

 

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個人的におススメの食べ方になりますが、フライパン(油はひかない)で両面を焼いてパリッとさせたほうが好きです。

 

堅いほうが好きという方のために、こちらのお店にはオランダせんべい「堅焼き」も売っています。

もともとオランダせんべいはもっと硬いものだったそうなので、もしかしたら堅いほうが原型に近いのかもしれません。

 

実はこのお店「焼きたてのオランダせんべい」が食べられます。

それを狙って行ったのですが残念ながら売り切れでした・・・

食べてみたい人は9時~13時を狙ってくだされ。

 

(株)はしや札幌店

札幌市西区山の手3条3丁目4番11号(日曜日定休)

 

 

 

 

 

株式会社 端谷菓子店

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こちらは根室市の端谷(はしや)菓子店のオランダせんべい

根室まで行かなくてもおみやげ屋さんなどで入手可能です。

 

「昭和25年創業」「元祖」といった文字がまぶしいパッケージとなっております。

包装してあるビニールが昔のパン屋さんの菓子パンを包んでたようなうっすいビニールで、知ってる世代には哀愁を感じさせます。

 

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札幌のものと比べると弾力は少なめ、甘さももっと控えめで超素朴な味わい。

個人的には根室の方が好きですね。個人的には。

 

 

株式会社 端谷菓子店

根室市千島町2-11(日曜日定休)

 

 

 

 

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上が札幌、下が根室のなんですが、模様が全く同じなんで、おんなじ鋳型を使ってるんだと思います。

にしても、両店とも同じ名字(端谷さん)なんで、ご親戚かのれん分けかわかりませんが、商標登録の関係もあるんで関連店なのかもです。

ホームページを拝見してもお互いのお店を推したりしてないんで、程よい距離のご関係なのかもしれません。

 

 

オランダせんべいの由来をこねくりまわす

なぜ「オランダせんべい」と呼ぶのか?

もともとは、長崎県平戸にある「オランダ焼き」というお菓子があって、それが長崎から根室に伝わって「オランダせんべい」になった。というのが通説です。

確かに「オランダ焼き」は大きさ以外はオランダせんべいにそっくりなお菓子です。

 

で、オランダ焼きがオランダと呼ばれる理由は

・オランダ人の靴の跡をデザインしているから

・オランダ坂の凸凹した石畳に似ているから

なんだそうで。

 

なんか納得いくような行かないような説明ですね・・

別に靴跡や石畳なんて万国共通だし。

 

 

ここからは遊びの文章になります

 

~どさんこカメラ的オランダせんべいの由来妄想~

オランダせんべいはワッフルに似ております。

おそらくワッフルを作ろうとしてああいう模様をつけたのでしょう。

パンを知らない菓子職人が頑張ってパンを想像し、できたものが月寒あんぱんだったように・・・

 

でもワッフルといえばベルギーでは?

「ベルギーせんべい」ではないのか?

いえいえワッフルはベルギーの特権ではありません。

もともと古代ギリシア発祥の食べ物です

 

その昔、それは”オべリオス”と呼ばれていて、まあ主食(パン)の総称みたいなものだったんですけど、とにかくオべリオスはキリスト教の伝播とともに宣教師たちによってヨーロッパ各地に広まりました。そんでそのうち、それを鉄板で焼いたり、模様を付けた鋳型で焼いたりするようになったのがワッフルです。

 

14世になると、オランダで「ワッフルをはさむやつ」が発明されます。

今でも売ってるようなこんなやつですね

日本ではワッフル=ベルギーってイメージがありますが、オランダだって古くからワッフル文化があるわけです。

しかしこのオランダにも注意が必要で、今のオランダとは違います。

ここで世界地図を浮かべてほしいのですが、ベルギー、オランダ、フランスは地続きのお隣同士の国です。

ベルギー、オランダ、ルクセンブルクに北フランスを加えた地域を「ネーデルランド」

と呼びます。なんとなく世界史でやりましたね。

ネーデルランドっていうのが昔のあの一帯を包括する地域概念としてあったわけですね。

なので、ワッフルは今のオランダやベルギーという限定された国で生まれたというよりは、このネーデルランドで誕生したといってよいと考えます。

ネーデルランドの一部であるフランスでもワッフルの歴史は古く、16世紀の貧しい農民は小麦粉と水、塩で出来た生地のワッフルを食べ、貴族たちは卵黄、砂糖、精製小麦粉に白ワインを加えた生地のワッフルを食べていたそうです。

 

ちなみにベルギーワッフルが日本で流行したのは平成に入ってからです。それよりずっと昔からワッフルは日本にやってきていて、昔はワッフル生地の中にジャムを挟んで食べるのが一般的でした。

1910年代の日本の製菓本にはすでにワッフルが登場しているので、おそらくそれ以前から伝わっていると思います。

ちなみに1913年に出版された本では、「買ってきたお菓子は兵士の残飯とか着色料が入ってるので危険だが、ワッフルは簡単だしお菓子作りは男子女子問わず為になるので良い」とべた褒めです。(ただし鋳型は横浜からお取り寄せ)

 

で、開国当時の舶来品の窓口はオランダしか許されていませんでしたから、ヨーロッパから伝わったものはみんな「オランダ」と呼んでいても不思議が無いでしょう。

西洋医療も「蘭学」と呼ばれたくらいですからね。

 

というわけで、オランダ(=ヨーロッパ)から伝わったワッフルを真似ようとしたところ「オランダ焼き」というお菓子が長崎で完成し、それが港経由で根室に伝わり、「オランダせんべい」が誕生した。という妄想でした。

 

「ワッフルなんて呼びにくいからせんべいでいいべや」という当時の道産子の声が聞こえてきそうな銘菓であります。