木彫り熊が欲しくて阿寒町のアイヌコタンに来ました。
久しぶりの阿寒ですが、温泉街はもはやゴーストタウンのようになっていて驚きです。
以前にも書きましたが「木彫の熊」が好きで、一体手元に置きたいなあと思いコタンを訪れたわけです。だってどこにも売っていないんだもの。
で、結論から言うとコタンでも欲しい熊は見つからず。残念。
すべてのお店を見ましたが、玉石混合といった感じでどこにでも売っている中国製らしい熊から、手の込んだ熊まで色々でした。
僕の欲しいのは、鮭をくわえていない這い熊で、手ごろなサイズで、ニスや色は塗ってなくて。条件は多くないはずなんだけどなあ。
競うように装飾される屋根。サイケだなあ。
残念だ。せっかくきたのでアイヌシアター「イコロ」という場所で、アイヌの古式舞踊を見学です。
正直、ちょっと肩透かしでした・・。解説も抽象的で、なにか勉強になるかというと、?な感じ。
去年行った、白老町のアイヌ民族博物館に比べたら、ちょっと物足りない。
そういった意味では白老のアイヌ民族博物館は演出がうまかったんだなあ。踊りもムックリも迫力があった。
気を取り直してごはん。
アイヌ料理「ポロンノ」なる店を見つけました。
結構混雑しています。
聞いたことのないメニューばかり。これは食べてみねば!
人気ナンバーワンというアイヌ料理の定食セットを注文しました。
こちらはチェプ・セット。チェプはアイヌ語で鮭。
山菜と豆入りご飯、オハゥ、めふんのセットです。
オハゥはダシで肉や魚と山菜を煮込んだスープ。味付けは塩だけという再現性の高さ。(味噌や醤油をもちこんだのは和人だから、当然そういう調味料はあまり登場しない)
鮭ゴロン。
そしてご飯のおともには「めふん」!
オスの鮭一匹から1本しか取れないという、貴重な腎臓の塩辛です。
食べた感じはイカの塩辛みたい。とろっとしていて結構おいしい。
しかし、箸を進めるごとにご飯の温かさでだんだんと・・生々しい香りが・・。
ちょっと上級者向け。
「めふんパスタ」なるメニューもあったが、想像するだけで涙が出そう。
超上級者向けはこちら。
ユㇰ(鹿)セット。
オハゥの具が鹿肉。
みなさん鹿肉を召し上がったことはあるでしょうか。まあちょっと臭みがあるけど、それはそれで野性的でおいしいよね。と、経験のある方は思うでしょう。
甘い。レストランにでてくる鹿肉とは違いますよこれ。
湯気がすでに凄まじい匂い、汁をすすった瞬間、野生の脂の匂いが喉元にこみ上げてきます。
昔のジンギスカンの匂いを10倍にした感じ。
味付けが塩だけだから、調味料という防御壁はありません。
鹿肉を、なめていたことに気付かされました。
この緑のは行者ニンニクというネギ科の山菜。こちらではアイヌネギともいう。
強烈なニラと考えていただいていいが、この行者ニンニクがあるおかげで鹿肉の臭みが緩和され、なんとか食べられたらしい。(完食した強者曰く)
今日だけ「ヒグマの心臓の大和煮」もあったが、もう獣はちょっと・・。
こちらはポッチェイモ。
雪の中にジャガイモを埋めて凍らせ、自然発酵させた保存食。
味は特にしない・・。食感は硬い焼餅みたいな感じ。上にのったバターが悪かったのか、あまり箸は進まず。
色々な生臭さが残る口をサッパリさせてくれた、
ハスカップアイス。
ごちそうさまでした。
おいしくもぐもぐ食べられはしなかったものの(完食できるかの戦いだった)、これらの料理は強烈な印象を残してくれたのでした。
北海道内にアイヌの展示や舞台は数あれど、料理はなかなかありません。食べる行為は自分で直接感じられるある種特別なものですから、当たり障りのない解説や展示をみるよりよっぽど身になった気がします。
たぶん醤油やケチャップなんかで食べやすくすることはいくらでもできるんだけど、再現性を求めるならやらない方がいいし、何よりお客さんに媚びない味付けが良かったです。
機会があれば他のメニューも食べてみたい。また行こう。