どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

「平成30年北海道胆振東部地震」の概要

 

「平成30年北海道胆振東部地震」の概要についてざっと書いてみたいと思います。

なお、個人的な体験はこっちに書きました。

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平成30年北海道胆振東部地震

平成30年9月6日(木)3時8分頃に北海道で大規模地震が発生。

 

震源地は胆振地方東部。

地震の規模はマグニチュード6.7、最大震度7

 

 

特に被害がひどかったのは震源地付近の厚真町(あつまちょう)。

地形が変わってしまう程の土砂崩れが発生し、多くの犠牲者が出ています。

 

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※だいたいの位置を示したもので、実際の場所とは差異があります

 

北海道のほぼ全域で停電が起こり、水道、ガスなどライフラインがストップ。

震源地を除けば、この地震で最も問題になったのは「停電」でしょう。

 

 

停電の原因と、電力会社初の「ブラックアウト」

今回の地震では、電力系統が全て崩壊する「ブラックアウト」が起こりました。

北海道の電力は北電(北海道電力)が担っていますが、電力会社がブラックアウトを起こしたのは今回が初めてだそうです。

 

なぜこれほどまで大きな事故に至ったか。

その原因は、北海道の電力のほとんどを、厚真町にある「苫東厚真発電所」に依存していたからです。

 この発電所がある厚真町は、今回の地震で最も被害が大きかった町です。

北海道で一番重要な発電所が、大地震の震源地に建てられていたのです。

 

 

北海道内の火力発電所の能力の一覧です

〇苫東厚真(震源地にあったため被災し停止)・165万キロワット

〇伊達2号機・35万キロワット

〇知内1号機・35万キロワット

〇砂川・25万キロワット

〇奈井江・17.5万キロワット

〇泊原子力発電所(停止中)

なんと北海道の電力の50%以上を、苫東厚真発電所に頼ってます。

苫東厚真発電所には発電機が3基ありましたが、地震によって3基すべてが停止しました。

 

依存回避への2つの対策

 

このように電力供給源を苫東厚真1ヶ所に依存することについて、北電も危機意識はあったようです。

そのため、

①2015年から小樽市の石狩湾新港にLNG(液化天然ガス)火力発電所の新設工事を着手

②本州との間の送電線を増強する

という対策を進め、工事の真っ最中でした。

 

②本州との間の送電線 についてもう少し詳しく書くと、

本州と北海道の電気は「北本連系設備」という送電線で繋がっています。

お互いの電気を、この送電線でやり取りすることが可能です。

東日本の電力系統規模は4,100万キロワット、西日本は5,500万キロワットありますが、北海道は広大な面積にもかかわらず、360万キロワット程度しかありません。

北海道は他の地域と比べて電力系規模が小さいという特徴があるので、本州から電気を分けてもらう「送電線の増強」は手っ取り早く有効な手段にも思えます。

 

 

ところが、その完成前にこの地震が起こったわけです。

(LNGは2019年2月営業運転開始予定、送電線は2019年3月運転開始予定だった)

北電としても、「工事が間に合っていればブラックアウトは起きなかった」との考えを示しています。

 

 

 

しかし北電は、当初の予想で「苫東厚真では3基の発電機全てが損壊し、長期間止まることは想定していなかった」としていました。

さらに今回の地震では、「北本連系線」を使って本州からの電気の支援を受けることに失敗しています。この送電線を使うには、北海道側で一定の発電所が稼働している必要があるからです。

「北本連系線」には直流の電気が走っていて、家庭などで使用するためには交流に変換しなくてはいけません。全面停電によって交流に変換する設備は動かなかったのです。

 

・北海道の電力を一ヶ所に依存しておきながら、その発電所が全く稼働しなくなることは想定外だった。

・その一ヶ所が停止してしまえば、頼みの綱である本州からの電力支援も不可能になるこは想定外だった。

という事でしょうか??

 

 

あと何回大災害が起こったら、「想定外」という甘い認識は辞めようと思うのでしょうね。インフラに関しては、心配しすぎくらいに見積もってほしかった。

 

北電をバッシングしても意味がないので、出来るだけ早く対策を練ってほしいです。

また、停電復旧の裏では多くの電力会社関係者が昼夜惜しまず働いていた事を忘れてはいけません。

道内のほぼ全ての電力が消滅したにもかかわらず、地震発生から2日後には、全体の99%で電力が復旧しました。迅速な対応だったと個人的には感じています。

原発なんかなくても全然大丈夫。百年の汚染と数日の停電、どちらを選ぶかなんて決まっています。

 

 

 

表面的には復旧していますが、苫東厚真発電所が復旧するのは11月以降(!)です。

その間は苫東厚真発電所以外の発電所が頑張っている状態なので、計画停電実施の可能性もあります。

そのために道民は「2割の節電」が求められています。確か、道内の昨日の節電率は14.7%とかでしたから、もう少し頑張らないといけません。冬が心配ですね。

 

冬といえば「この地震が冬じゃなくてよかった」と思った方も多いのではないでしょうか。泊原発が無事だったこと、冬に起こらなかったこと、を考えると、

もし原発が被害に遭ってたら、もし冬に起きていたら・・・という「もしも」への警告のようにも思えます。

 

 

 

また、停電のせいで色んなところでデータがぶっ飛んでいます。 たぶんみんなに見えないところで・・

その復旧で今一番いそがしい人もいると思ういます。くれぐれも体調管理にお気を付けください。

日常に戻るのはもう少し先のようです。

 

 

平成30年9月11日(ブログ更新時現在)の被害状況

死者41名
負傷651名
全壊32棟

半壊18棟

一部破損10棟
現在の避難者数1989名