ひとりでのんびりしたいと思った。
その「のんびり」の具体的なイメージは、静かな美術館で絵画と対峙するようなのんびり加減である。
そんな気分でせっかく美術館に行っても、チケット購入の長蛇の列に並び、やっとの思いで入場すると作品を見てるのだか人の後頭部を見ているのだかわからない状態。後ろから来る人、前から戻ってくる人の波に揉まれてろくに見れもせず、楽しみにしていたミュージアムショップは大混雑。欲しいものは転売屋に買い占められているのである。
これを「のんびり」と言えるだろうか?
そんな時思い出したのが「北海道立三岸好太郎美術館」である。
北海道立近代美術館のすぐ隣にある。近美には行っても三岸好太郎美術館に行ったことがある人は、そう多くはないのではないだろうか。
お隣の近代美術館で特別展が開かれているときも、ここは比較的人が少ない。
ここは理想的なのんびりにピッタリである。
ちなみに三岸好太郎という人は札幌が生んだ画家である。
しかし三岸好太郎を知らなくても絵画に興味がなくても一向にかまわない。なぜならのんびりしに来ただけだから・・。
ではさっそく行ってみよう。
三岸好太郎美術館は外側もいい感じである。
美術館に行く道は観光客もおらず、緑の道もさわやかだ。
思わず大木も歩道に躍り出るくらいである。
美術館を囲む柵には植物が巻きつき、それっぽい雰囲気を醸し出している。
三岸好太郎美術館は知事公館の庭園内に位置している。
周囲がこのような緑に囲まれているため、庭の中でものんびりを堪能。
緑はメンタルにめっちゃいいのでたくさん見ると良い。
庭を抜けると美術館である。大人510円也。
館内撮影はできないので、写真は、ない。
美術館に行っても楽しみ方がわからない人もいるかと思うが、これにはちょっとしたコツがある。
はじめに、美術を敷居の高いものと思わないことが一つ。
遠近法が~とか色彩が~とかは全然わからなくていいし、美術史も知らなくていい。
そういう事に詳しい人はそういう側面から美術を楽しんでいるだけだと思っているし、本当に知りたくなったらあとから調べるでしょう。
自分の楽しみ方がそういう楽しみ方でないなら、無理して知る必要なし。
それを踏まえたうえでどういう目で絵画を見るかというと、
「この絵を買ってうちに飾りたいかどうか」という視点で見る。
あ、これは「ブルーピリオド」の2巻に登場するエピソードです!
美術は敷居が高いじゃんと思っているとこういう思考にはならないので、とってもいいエピソードだと思いましたこれ。
あと具体的には、学芸員さんごめんなさいだけど作品の横についてる説明文は見ないか、作品を見て印象を受けてから読んだ方がいい。
その説明文にどうしても印象が引っ張られちゃうし、文章を全部読もうとするので足が疲れて作品に集中できないから。
疲れちゃったら休憩スペースもある。
小さな売店もあるので、パンや珈琲を買ってここで食べることもできる。
三岸好太郎は31歳の若さで亡くなったそうである。
絵にいわゆる個性が出始めて、心象を鑑賞者に伝えられるほど技術面も洗練され、もうひと段階進化しそう‥という時期の死だったのではないかな、と個人的には思った。それだけに残念なことである。
ちなみに妻の三岸節子も画家である。
絵もいいなと思うし、結構壮絶な人生なのでそのうち本も読みたい。
ちなみに美術館の帰りは「カエルヤ珈琲店」がおすすめ。
一人でも入りやすい。
というか最近は一人か二人連れしか入れないらしい。最高。
こういうのもお店側からアナウンスがあるので大変助かる。
ここのホットドック、小さいので小腹が満たせて良い。
ピクルス的なものもおいしい。
ホットドックの提供は15時まで。のんびりしすぎると食べられないのでお早めに。