追記※小樽和光荘は2018年にどうやら中国系企業に買い取られ、現在は一般公開していないようです。
この記事は一般公開していた時のものです。
当時の雰囲気をお楽しみ下さい。
小樽に『和光荘』という大正時代に建てられた洋館がある。
北海道の歴史的建造物については結構見てきたつもりだった‥‥‥が、
僕はこれほどまでの豪邸を見たことがない!
おまけに外国人観光客にはまだ認知されていないらしく、観光客もまばらだ。
小樽の大正期の風情を残す穴場だと思う。
「和光荘」は野口喜一郎という人の自宅だった建物。
デザインも彼が手掛けた。
彼は小樽の酒蔵「北の誉酒造」の二代目社長。
当時北海道に日本酒の酒蔵はほぼなく、おそらく日本酒市場は独占状態だっただろう。
築き上げた莫大な財産を潤沢に使って建てられた建物だ。
▼「和光荘」 大正11年竣工
この写真を見てほしんだけど、階段を下りてくるのは若き天皇陛下である。
昭和天皇・皇后両陛下も・・。
で、見てほしいのは階段の手すりなんだけど、これは和光荘の階段の手すりなのだ。
下の写真と見比べてほしい。
実は1954年に昭和天皇・皇后両陛下が、1958年に今上天皇(皇太子当時)が北海道にご来道の際、ここに宿泊されたのである。
これだけ見てもこの建物のやばさがわかっていただけると思う。
あと三國連太郎とか高倉健も利用したらしい。うう。
それじゃ中に入ります。
奥で竜がこちらを見ている(あれは300年前の骨董品らしいです)。
入館料がかかります
大人1000円、子供500円、小樽市民は600円也。
▼客和室
この部屋は昭和天皇・皇后両陛下が寝室として使ったお部屋。
部屋の造りが京都の瑠璃光院っぽい。
ゆがみが特徴的な大正硝子をとおして庭園が望める。
▼同じ部屋を外から撮影したもの
もう少し引いたアングルから
あれ?日本家屋だっけ?
じつは先ほどの洋館(白い建物)に、日本家屋がくっついているのです・・・
▼一番左には昭和2年にさらに増築された「持仏堂」がくっついています。
持仏堂っていうのは仏さまを安置する堂の事です。くっつけすぎ・・
中に戻って「持仏堂」へ
▼持仏堂へつながる渡廊下
この通路は母屋に対して75度の角度でつくられています。
窓まできちんと75度の角度。かっこいい。
▼持仏堂の仏間
かつては京都の高僧や帝国大学のインド哲学者を招いて講演会が行われたらしい。
台湾ヒノキをふんだんに使った部屋です。
「和光荘」を作らせた野口喜一郎の肖像画が飾られていた。
▼客室
持仏堂から母屋に戻ります。
この後、階段を上がったり下りして部屋を見学。
和風・洋風共に、見飽きるほど客室があります。
1950年代以降は宿泊施設として利用された時期の名残りでしょう。
▼素敵なもの
家具調度品においても素敵なものが多かったのでまとめて貼ります。
象ですよ・・
随所にあるステンドグラスも見どころ。
こういう光は木材を照らしてこそ真価を発揮するのかも。
▼浴室
天皇陛下もおそらく汗を流したと思われる浴室。
昔の人はあまり風呂にこだわらないのか、昔の風呂場はどこを見ても結構シンプルなものが多い。ちょっとしゃれた銭湯みたいだ。
それでも天皇がいらっしゃるという事で急きょ浴室を作ったんだそうだ。
かつてここに小川三知の紅葉と小鳥をデザインした素晴らしいステンドグラスがはめられていたが、残念ながら最近割れてしまったらしい。
いまはそっけないただの窓ガラスがついている。
長年個人の邸宅だったのだから仕方ない部分もあるが、貴重な文化財があるにもかかわらずあまり管理が行き届いていない印象は随所に感じた。
▼洗面所
洗面所といってもちょっとした脱衣所くらい広い。
火鉢は暖房用だろうか
エクスラン・・・すごく楽しそう。
エクスランはアクリル繊維の商標名で、日本エクスラン工業(東洋紡の子会社)がつくってるんだそうです。日本で最初のアクリル繊維メーカーらしい。
国旗や安全旗の生地は今でもエクスランが主流だそうです。
「和光荘」は4階建てですが、まだまだお部屋はたくさんございます^^;
紹介しきれないので後半に続く‥