雪虫はどこでしょう。
「白く見えるつぶつぶ全部が僕たちでーす」
あ 雪虫はしゃべれないんだよ。口がないから。
口がないからなんにも食べない。何も食べないなら生きられないって思うけど、生まれてから数日後に成虫になり、何も食べないまま交尾して卵を生むとすぐ死んじゃうんだ。
何のために生まれてきたのだ。
そろそろ雪かな・・っていう時期に一斉に現れて、北海道の冬の風物詩になっているよ。
羽の付け根から背中に白い綿みたいのがついてます。これが雪みたいだから雪虫。
綿のような部分は蝋なんだって。
蝋で水をはじいたり、漂いやすくしたりする役割があるらしいんだけど、
ほんとのところはどうなんだろうね?
ふわふわした蝋がついた虫を全般を「雪虫」っていうらしいよ。
リンゴワタムシやトドノネオオワタムシなんかが雪虫って呼ばれるんだけど、両方アブラムシの仲間だから害虫だね。
リンゴワタムシはその名の通りリンゴの木につく害虫なんだけど、どうも住宅街で見る雪虫とは違う気がする。そこらを飛んでるのはトドノネオオワタムシなのかな?
ちょっとかわいらしい雪虫だけど、どちらも成虫はとっても気持ち悪いから知りたい人は画像検索してみてね。
とうっ
飛ぶときはちょっと重たそう。ふらふら飛ぶ姿が、雪のようでもあるよね。
この雪虫の生態ってちょっと変わってるよ。
雪虫たちには、春の家(木)と夏の家があるんだ。
春の家はヤチダモ類の木。卵は春に羽化するんだけど、生まれるのは全部メス。
しかもオスなしでどんどん卵を産むよ。生まれてくるのはこれもまた全部メス!
メスがメスだけでメスが生まれる卵を産む・・ていうのを何世代か繰り返します。
夏頃生まれたメスたちは、夏の家であるトドマツの根に大移動します。(だからトドノネオオワタムシっていうんだね)。ここではアリさんと一緒に暮らします。
そしてまたメスだけで卵を産み、メスだけが生まれます。
秋くらいに生まれた世代が、春に親の(もはや先祖の)生まれた春の家(ヤチダモの木)に戻るために大移動します。
この時見るのが今の時期の雪虫だね。
春の家に戻って卵を産むんだけど、この時初めてやっとオスが生まれるんだって。
オスとメスが交尾して出来た卵は冬を越し、また春に生まれるっていうサイクルなんだ。
単体で見るとふわふわしててかわいらしいんだけど・・
学生だった頃は雪虫が通学路に出現すると、その真っただ中を突っ切らないといけなかったのでそれはヒドイものでした。道路の端から端までいるんだもの。
徒歩の時は通過する時間がかかるので最悪。
息を止めて、前方確認に最小限の視野を確保。ダッシュみたいなね。
制服にも髪にもたくさん雪虫がつくんだけど、雪虫は結構か弱くて手で払うと死んでしまいます。別に悪いことはしてないんだけど、朝からなんだか申し訳ない気持ちになるよ。
前の席の子の雪虫をとってあげるときは、制服に白いのがつかないように指先で羽をつまんであげるのがポイント。
雪虫の生態は、アイヌ研究で有名な北海道大学の河野広道さんによって解明されたんだって。しかも1941年に雪虫を主人公にした映画『雪虫』っていうのまでつくっちゃったんだ。
動物を主人公にした科学映画はディズニーの「砂漠は生きている」なんかが有名だけど、『雪虫』もそんな感じだったのかな?
この時代に日本にも科学映画があったこと自体びっくりしたよ。
今見れないのがとっても残念・・
発生すると大迷惑な雪虫だけど
今住んでるとこでは全く見ないので、ちょっとさみしいよ。