どさんこカメラ

北海道各地で撮った写真を掲載します。

おうちにいよう!自宅で見た映画を並べてみる。

映画や音楽、読書が好きな人間にとって、「ずっと家にいろ!」という命令は「え、いいんですか?」と薄ら笑いが出そうになりながら、しかし昨今の世界情勢を考えれば困った顔を演じなければならない複雑な心境なのでわ・・。 

僕も薄ら笑いを浮かべる部類の人間なので、今月はアマゾンプライムビデオやネットフリックスでひたすら映画を見まくってました

 

という事で最近見た映画を並べてみます。

ただ並べてるんでめっちゃ長文だし評論とかはしません。そういうのはきちんと映画評論をやってるブログをご覧くださいませ。

 

 

 

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・映画の探し方がよくわからないので「ジョーカー」からのホアキン・フェニックスからの「ドント・ウォーリー」

Amazonプライムに加入して、あとは見るだけ!ってときになって、大量に並ぶコンテンツに 「いったい何を見たら・・・」 ってなっちゃう人は多いと思う。

そんなときは、昔好きだった映画や、気になる俳優から関連検索するとよろしいと思う。

 

例えば日本でも大ヒットした「ジョーカー」。あれは正直脚本がいまいちだったけど、ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスの演技がめちゃめちゃよかった(アカデミー賞主演男優賞も獲ったね)ので、僕はジョーカーを観て以来、なんとなくホアキン・フェニックスのファンだ。

という事でホアキン・フェニックスが出てる映画~と検索していたら「ドント・ウォーリー」(2018)が出てきたので、見てみたら割と面白かった。

「Don't Worry, He Won't Get Far on Foot」ってのが原題で、主人公はある事情で体が不自由になって歩けない。つまりこのタイトルはアメリカンジョークになっている。

何でそんな不謹慎なジョークなのか・・・ってのは本編を見てね。

ホアキン演じる主人公・ジョンは体が不自由なだけでなくアル中なんだけど、アルコールに限らず、何らかの依存症で多少なりとも世の中との隔たりや思い通りにならない体で苦しんだ人にとっては、非常に心に刺さる内容です(逆に普通の人にはあまりつたわらないかも・・・)

じつはホアキン・フェニックス自身も実際にアルコール中毒だったり、弟を薬物中毒で亡くしてるんで全く関係ない話ではなかったり。

この映画は、苦しんでいる人にとって、救いはどこからやってくるのか?みたいな話ですね。

堕ちて堕ちたところで、他人を攻撃したところで、救いはやって来ない。ってのは実は苦しんでいる当人が一番わかっていることで、やっぱり救いってのは他人を受け入れる事や許すことで自分の内側から出てくんじゃないの・・・みたいな話ですね。

もし日本で同じテーマの映画を作ればお涙頂戴の三流映画、麗しい若い男女が出てきて「ずっと泣きっぱなしでした」みたいな感想が噴出するクソ映画になりそうですが、こちらの映画は主人公がおもらしもすれば差別的なギャグも飛ばす、まさに「生きてる」感じがする!!生とはそんな綺麗なものではないのだ!!って感じでテーマが重い割に押し付けがましい演出が無いんで先入観無しにご覧ください。

ちなみに配給はAmazonスタジオです。へー時代は変わったねー。

ドント・ウォーリー (字幕版)

ドント・ウォーリー (字幕版)

  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: Prime Video
 

 

 

あと「ドント・ウォーリー」と似たようなテーマを描いた作品で、「ギリーは幸せになる」(2016)

主演は新星ソフィー・ネレッセ。

孤独な子供が血のつながらない家族と本当の家族になる、というありふれたテーマだけど、ソフィーの演技ががまたいい感じで、怒れる女の子、周りの大人から見れば不機嫌で扱いずらい小生意気な女の子を好演。

主人公がどうして家族を大切にするようになったか?っていう一番大事なシーンに力が入っていないという問題はありつつも、それでも上映時間98分でうまく話をまとめたなーって感じの作品です。上映時間が短いんで、手っ取り早くハートフルになりたい方はどうぞ。

ギリーは幸せになる(字幕版)

ギリーは幸せになる(字幕版)

  • 発売日: 2017/11/29
  • メディア: Prime Video
 

 

 

・「ジョーカー」が好きなら「キング・オブ・コメディ」も見てほしい

話がちょっと戻るけど「ジョーカー」好きなら「キング・オブ・コメディ」も見たらいいと思う。

なんで僕が「ジョーカー」がそんなに衝撃的じゃなかったかっていうと、先に「キング・オブ・コメディ」を見ちゃってるからだと思う。

主人公ルパートを演じるのはロバート・デ・ニーロ。彼はコメディアンになりたいんだけど実は全然面白くない、むしろイタイ感じの男なんだけど、これがとっても恐ろしい話なのだ・・・。

というのも何らかの形でクリエイトな活動をしている人間が観れば、「わあああもうやめてくれえええ」となるのは必至で、(これも普通の人には伝わらないかもしれない)、自称クリエイターの人には効果はばつくんだ!みたいな攻撃が直撃する可能性があるので、そういった方々はある程度の心構えをもってから見てもらいたい。僕もかなり悶絶した。

で、「ジョーカー」でぶっ殺されるキャスター役としてロバート・デ・ニーロが出てるのはこの作品へのオマージュで、なんでキャスター演じてるのかもキングオブコメディ―を見れば、あーこれーかーってなると思う。

シナリオ的にも、ジョーカーは「キングオブコメディ」がベースになってるなーって点が多くて、ラストにいろいろ想像させるってのも似た作りにしてるんだと思う。

両作品でもっとも異なるのは、主人公が「自分が狂っている」ことに気づいているか否かの違いであり、自分は世間から疎外されていることに気付いているアーサーより、それに気づかないルパートの方が恐ろしいと僕は思うよ。

まあこれもジョーカーも名作映画なのは間違いないけどね。

The King of Comedy (字幕版)

The King of Comedy (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

・ロバート・デ・ニーロって今どうしてるんだろう・・・と思ったら最新の技術で若返ってたわ

これはAmazonじゃなくてネットフリックスでしか見れないんだけど「アイリッシュマン」(2019)。ネットフリックスのオリジナル映画です。

出演が、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ(ホームアローンに出てくる泥棒だよ、みんな覚えてる?)という超々豪華俳優陣、そして上映時間3時間以上という超大作であります。そして監督はマーティン・スコセッシ!!

話としては、トラック運転手からマフィアの右腕にまでのし上がった男の実話を基にしてんだけど、いちばんすごいのはVFX技術で俳優が若返っちゃってるとこだよ。

哀しいことですが、デニーロ、パチーノ、ペシって撮影時でもう80歳近いんですよ・・。

でもこの3人は、若いころから老境にさしかかるまでを演じなくちゃいけなくて、若いころのシーンは特殊効果によって3人とも若々しいお姿に!しかも出来が良い!!違和感ない!

今の技術ってほんとすごいなーってことがわかる作品です。

若い人が年取る特殊メイクってのはよくあるけど、逆は大変だからねー。

「タクシードライバー」とか「ゴットファーザー」の頃みたいな彼らの顔が見られますが、お腹が出てたり、動きがめっちゃ遅かったりと、そういうとこまでは隠せないみたいですけどね・・・

超大作だけあって、登場人物がやたら多いし時間は長いしで途中飽きるかもなんだけど、デニーロやパチーノのファンだッ!っていう人は見て損はないと思います(ペシもね)

話的には、非道を尽くした後に、正しい人生とはなんやったんやろ・・みたいな哀愁ただようマフィア映画。老境に差し掛かった主人公が写真を見ながら人生を振り返るシーンがあるんだけど、撮影時点で実年齢80歳にいこうかというデニーロに、彼の今までのフィルモグラフィーを重ねてしまって、僕は別の意味で涙が出そうになった。

 

 

 ・もう映画はハリウッドの時代じゃないのだ!でも昔のハリウッド映画もよかったよねー

 「アイリッシュマン」は、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノといった豪華キャストが並んだにもかかわらず、予算の関係でハリウッドの配給会社から映画化を白紙にされた作品でもあります。そこで助け舟というか、出資をしたのがネットフリックスです。ネットフリックスって定額のコンテンツ提供だけでなく、映画やドラマにも配給していてオリジナルで映画も作ってます。(けっこうおもしろいのおおい)

じゃあ天下のハリウッドはなにやってるんだっていうと、個人的な印象ですけど「売れそうな」映画しか作ってないですね。いまだと中国で人気のあるアクションものとか・・(今新作映画を一番消費してるのは中国だそうで)

こんなご時世にシブいマフィア映画は受けないだろうって魂胆がみえみえなんで、もう文学寄りの映画はハリウッドからは出ないかもですね。

とはいえ黄金期のハリウッド映画っていいのがいっぱいあって、中でも僕が好きなのはミュージカル映画です。

最近だと「ラ・ラ・ランド」とかありますけど、ああいう綺麗な奴じゃなくて無駄にダンスと歌がでてくるコテコテのやつが好きですねー。なんで今唄うんだよ?みたいな。

ぜひ見てほしいのが鉄板「雨に唄えば」

雨に唄えば(字幕版)

雨に唄えば(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

ジーン・ケリーとドナルド・オコナーのダンスがめっちゃうまい。

ジーン・ケリーは背も高いし体重もそこそこありそうなんだけど、身のこなしがめっちゃ軽いし体がデカいだけあってダンスの重量感がすごい。オコナーはその逆。

ミュージカル映画って、映画以前のエンターテイメントがまだ色濃く残っていて、映画を楽しむというよりは「ダンスを見て楽しむ」とか「歌そのものを楽しむ」みたいな要素が多い。だから映画を見るというより俳優の技巧を見るみたいな見方をした方が楽しめるかも。

このころのミュージカル映画といったらジーン・ケリー、フレッド・アステア、フランク・シナトラあたりが有名だけど一番好きなのはジーンケリーだな。

そういえばジーン・ケリーとシナトラが出てる「錨を上げて」(1945)もアマゾンプライムで見られるようになった。

錨を上げて(字幕版)

錨を上げて(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 「錨を上げて」は休暇中の水兵の恋物語っていう、当時流行った超ベタな話で内容自体はたいした面白くないんだけど、突然トムとジェリーがアニメ共演したり、20台のピアノで演奏したりと1945年(第二次世界大戦が終わるかなってときですよ・・)当時としては趣向を凝らした演出が面白い。(ちなみに最初はトムとジェリーじゃなくてミッキーが出演予定だったらしい)

作中に出てくるホセ・イトゥルビは実在する人物で、ただのピアノがうまい役者ではなくれっきとしたピアニスト。いまでもホセ・イトゥルビ国際ピアノコンクールってのがあるくらいである。ヒロイン演じるキャスリン・グレイソンも、あの歌声はアテレコではなく実際にソプラノ歌手だったのでめっちゃ声がすごい。

当時は俳優や女優というよりは実際にある分野に秀でた人が主に映画にでてたんで、そういう意味では映画が贅沢につくれた時代だったのかもしれないっすね。