士幌(しほろ)町の道の駅がリニューアルしたらしいので行ってみた。
士幌町は札幌から200キロくらい。北海道はでかい。
周囲には何もなくて広大な田畑と集荷施設が並んでいた。
これが新しくなった道の駅。
牛舎をイメージしているって。
駐車場には自転車のサイクルスタンドもあった。
どこからきたのか自転車の人も結構多い。
中はものすごく混んでいた。
リニューアルオープンというのはテレビでも放映されていたらしく、混む混む混む。下の黒い影は全部お客さん。
特に人気なのが「しほろ牛カレー棒」というテイクアウトメニューで、長蛇の列。
この町、実は肉牛頭数日本一。牛肉の町でもある。
その、しほろ牛が使われたカレーの入ったモノらしい。
おいしそうではあるけど並びたくないのでパス。
みんながこぞって買っているおみやげもあった。
これ。
「生産者還元用ポテトチップス」
士幌町農協で作っているポテトチップス。
じゃがいもには、家庭で料理する用のイモと、加工用(ポテトチップスとか)のイモの品種があるんだけど、士幌町が作ってるじゃがいもは、その半分以上が加工用だそう。
「関係施設以外で販売しないでください」みたいな文句も書いていて、地域限定感にあふれている。
お値段も100円ちょいなのでおみやげにはいいね。
が。これまたレジに長蛇の列ができていたのでパス。
レジ2台しかないのはきついんじゃないの。
カフェも併設されていた。
アイスカフェオレ的なものをいただいた。おしゃれ。
ちょっと甘すぎなのは、きっと店員さんが忙しかったんだろうね。
このカフェでは太田寛一というおっさんを指名手配犯のごとくやたら推してくる。カフェの名前も「カフェカンイチ」というらしい。
地元の有名人なんて知らん。誰。
調べてみるとよつ葉乳業の創設者らしい。
本州でメジャーかどうかは知らないが、よつ葉乳業は雪印に次ぐ大手乳業メーカー。
この太田という人は、もともとはこの町の農協の組合長をやっていた人。昭和30年代くらいはまだ農業も不安定で、農家の生活はかなり苦しかったらしい。
それに農家自身でお金を積み立てることと、施設の充実という二本柱をたてて復興したのがこの人。
本州の農協には無いと思うけど、北海道の農協には「クミカン制度」というものがある。この制度はいわばローンのような物で、農家はお金を借りれるが、行き過ぎて借金に苦しむことも多い。ほとんどの農協でこの制度が利用されているにもかかわらず、士幌町農協はクミカン制度を導入しなかった。
農家の収入から一定額を半ば強制的に積み立てることによって資金確保に成功したらしい。
またさっきのポテトチップスに見るようにジャガイモの加工が得意な地域であるんだけど、それはこの人が馬鈴薯コンビナート(倉庫と加工場がセットになったもの)をつくったおかげでもある。
その馬鈴薯コンビナートは「東洋一」というあいまいな表現で有名だが、立派なんだろうなあ。
見てくるのは、忘れた。
とにかくそうやって、農家の資本蓄積と馬鈴薯生産の強化を推し進め、士幌町の経済基盤を押し上げたのは本当らしい。
ちなみにこの人はよつ葉乳業の社長と農協組合長というほかに、ホクレンや全農連の会長という顔もあった。
話は少しずれるけど、よつ葉乳業の50周年に合わせて発売された「くるっとキャップ」の牛乳パックが好きだ。
このようにキャップ式なっている。
これなら注ぎ口がガビガビにならないし、気のせいか美味しいような気がするので牛乳を買うときはいつもこれだ。
よつ葉ついでに思い出したので書いておく。
ポテトチップスもカレー棒も買わなかったけど、これを買った。
「ヌプカの雪解け」
謎の生き物?シホロンのイラストがかわいい。
ヌプカはアイヌ語で原野の意味で、学校の裏の原っぱのことだそうだ。
なんというか、今までに食べたことのない食感で、スプレケーキを凍らせたようなヨーグルトムースを凍らせたような?おいしかった。
士幌高校の乳加工専攻班の生徒が開発したらしい。この日はおそらく休日返上で生徒たちがお客さんに声をかけていた。
*
ちなみにこの道の駅には「ピア21」という愛称がある。
太田寛一が実現したかった「農村ユートピア」という言葉から来ているらしい。
今では語り継がれて言葉だけになっている感。それが実際どんな構想だったかは彼が彼岸の人となった今知る術はないんだけども。
リニューアルしてどこが良くなったのかはいまいちわからなかったけど、よつ葉牛乳に若干の親しみを感じて帰ってきた。