そういえばイノシシって北海道にいないのですよ。
僕も生まれてこのかた実際のイノシシを見たことがありません。
本州にはいるけど、北海道にいない動物っていうのはけっこう多い。
例えばクマ。
「ツキノワグマ」は北海道にいません。
逆に、北海道を代表する大型のクマ「ヒグマ」は本州や沖縄にはいないです。
それからモグラ。
以外ですが北海道にはいないんです。
「え?畑でモグラを見た事あるよ!」という方もいるかもしれませんが、それはモグラと同じように大きな爪をもつ「オオアシトガリネズミ」などのトガリネズミです。
トガリネズミはモグラ目の生き物ですが、モグラと比べてネズミっぽさが強く、モグラのぽっちゃりしたかわいらしさがありません。北海道民が「モグラ」と呼んでいるものは実はトガリネズミであります。
昆虫ではゴキブリ。
これも北海道にはいません。寒さでしにます。
ただし荷物に紛れてきたゴキブリが、すすきのなど年中暖かい場所で生き延びているというウワサも‥
いずれにせよ一般家庭にはいないです。
こんな風に、北海道と本州以南では生き物の分布に「境界線のようなもの」があるわけです。
「日本のどこかを境目に生き物の種類が違うっぽいぞ!」という事に最初にあきらかにしたのがイギリス人のトーマス・ブレーキストンさん。明治時代の事です。
その境界線を、彼の名をとってブラキストン線といいます。
学校で習いましたな。
ブラキストン線は津軽海峡を境目に、動植物の生態分布を分けるライン。
ここをまたぐと動物も植物も生態系が全然違うわけです。
ブラキストン線を超えるとなぜ動植物相が違うんだろう?ってこれは仮説なんですが氷河時代にさかのぼります。
氷河時代、今の北海道にあたる大陸は千島列島を通してユーラシア大陸と地続きになっていました。一方、本州は朝鮮半島を通してアジア大陸と地続きでした。
なので、今の北海道には北方系の大型でもふもふした動物が住み、本州にはアジア系の動物が多いのではないか。
それに加えて、ブラキストン線がある津軽海峡は深さが449 mもあり、潮流も強いため動物達は北海道と本州間を行き来できなかったのではと考えられています。
というわけで、イノシシ、ツキノワグマ、モグラ、ゴキブリなんかは「北海道にはいない」生き物です。
北海道にしかいない動物
逆に「北海道にしかいない動物」はこちら。(僕が写真撮れてるやつだけですけど‥)
みなさまご来道の際はぜひご覧くださいませ。
1.エゾリスアイヌ語:トゥスニンケ(魔法でさっと消えるもの)もしくはニウエオ。冬はもふもふ感がアップします
2.エゾフクロウ
アイヌ語:クンネレッカムイ(夜に鳴く神)
北海道にいるまんまる顔のフクロウ。白い羽にまだら柄が特徴。
僕は見たことありませんが、翼を広げると2m近くになるシマフクロウも北海道のみ生息。いつか見て見たいものです。
3.キタキツネ
アイヌ語:チロンヌプ(我々がたくさん殺すもの)
北海道といえばって感じですが、エキノコックスという寄生虫を持っているので近寄ってはいけませんよー。
4.ヒグマ
アイヌ語:キムンカムイ(山の神)
言わずと知れた王者。できれば会いたくないですね。大きなヒグマはツキノワグマの倍の大きさになることも‥
5.エゾシカ
アイヌ語:ユク
ジビエブームにのって、最近は鹿肉も気軽に食べられるようになりました。
大きなシカだと150㎏を超えるものも(車と衝突した場合、軽自動車程度だと廃車になります)
6.シマエナガ
アイヌ語:ウパシチリ(雪・鳥)
めちゃかわいいですね。
ちなみにブラキストン線を発見した、トーマス・ブレーキストン(1832年〜1891年)はクリミア戦争にも従軍した軍人です。軍人ですが鳥類にめっちゃ興味があり、北海道の鳥類の調査によってブラキストン線を発見したそうです。
北海道のほか、ロッキー山脈や中国にも足を運ぶ冒険野郎。かと思えば函館で日本で初めて蒸気機関を使った製材所を作ったり、ブラキストン・マル商会なる会社を作ったりと貿易商の一面もありました。
戊辰戦争が起きたので商売は頓挫してしまいましたが、20年あまり函館で過ごしています。
こないだ紹介したエドウィン・ダン家
と婚姻関係があったりと、明治時代のお雇い外国人は結構面白い人が多いです。